第61回 博多どんたく

書家れんのつきいち年中行事
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第61回 博多どんたく

ご機嫌いかがですか、れんです。

先日、新筆を10本ほどおろしました。新品の筆には捌(さば)いたままのものと糊で固めてあるものとがあります。糊はきちんと根元まで洗い流し、いったん陰干ししてから使います。時々、根元から半分くらいまで糸で巻いて使えなくしているのを見かけますが、これでは筆本来の持ち味を殺してしまいます。

良い筆は丁寧な手入れをしていると白毛がだんだんと飴色になって風格が増します。使い慣れた筆は一緒に作品に挑む同志という感覚です。

以前あるイベントでの大書パフォーマンスの際に、書き始め2画目で、初めて使う大筆の前骨(毛と軸の間の繋ぎ部分)が軸から抜けてシュルシュルシュルーっと飛んでいったことがあるんです。私自身も、そして観客の皆さんも何が起こったか把握できず、数秒間唖然としてしまいました。今思い出しても恐ろしい光景です。使い慣れた道具がいかに安心感を与えてくれるか、本当にしみじみ感じますね。

さて、毎年5月3・4日は「博多どんたく」(正式名称は「博多どんたく港まつり」)が開催されます。いつも200万人以上(昨年は210万人)を動員する日本最大級の祭りの1つで、祇園山笠とともに博多の祭りの双璧をなしています。

平安末期の1179年、病没した平重盛(清盛の嫡男で当時この地方を領有)への謝恩のため始まった「博多松囃子(まつばやし)」を起源とすると、『筑前国続風土記』(貝原益軒編纂)にあります。公式サイト(www.fukunet.or.jp/dontaku/index.html)によると、江戸時代には「博多」と「福岡(黒田藩城下町)」の両町がこの博多松囃子を通じて270年間交流してきたそうです。明治になって1872年にいったん中止に追い込まれるものの、1879年に再開され「博多どんたく」と呼ばれるようになりました。日本語だと思っていたこの「どんたく」は実はオランダ語の「ZONDAG(日曜日)」が語源だそうです。

祭りではさまざまなグループの「どんたく隊」の演舞が、市内約30カ所に設置された演舞台で入れ替わりに披露されます。博多松囃子一行を伴うパレードも圧巻です。海上保安庁福岡海上保安部巡視船の体験航海やクルージングも行われるそうです。また、2日の前夜祭ではミス福岡の選出やゲスト歌手のコンサートも開催され、まさに博多っ子の心意気が弾む盛りだくさんの3日間となっています。

それでは今月の作品の解説を。漢字と仮名の混在する作品を、専門用語では「漢字仮名まじり書」と呼びます。普段の日本語の文と同じなのですが、学術的にはそう区分されるようです。表意文字で画数も多く直線的な漢字と、表音文字で画数が少なく柔らかい曲線調の平仮名。この2つを同じ画面に調和させながら配置するのは見た目ほど安易ではありません。漢字は無骨で強く、平仮名は柔和で軽く見えます。この両者を歩み寄らせながら纏(まと)めていくのです。

今回は漢字の太線に丸みを含ませ、平仮名に直線の要素を多く加えて全体感を統一しました。「ん」と「た」の間の連綿線を強めの直線にしたのもアイディアの1つです。

一見簡単に見えるようでも、書き手の配慮がたくさん詰め込まれています。そのポイント探しをしながら眺めれば、書作品の鑑賞ももっと楽しくなるでしょう。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。東日本復興支援「プロジェクト名もない絆」のメンバーとして支援地と被災地をつなぐ活動中。

Web: renclub.net
Email: renclub@gmail.com
動画:youtube.com/user/renclub
UST: ustream.tv/user/obiyoshiyuki

 

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