第82回 北方領土の日

書家れんのつきいち年中行事
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第82回 北方領土の日

ご機嫌いかがですか、れんです。

去年の末からですが、チャツウッドの書道教室で「写経」の時間を始めました。「写経」というと甚だ堅苦しいイメージが頭に浮かぶ人もおられるかと思いますが、そんなこともありません。心を穏やかにして、「般若心経」の278文字を書きあげることに集中する時間だと思えばよいのです。

考えてみればここオーストラリアでそれだけまとまった数の漢字を一気に書くことは極めて稀です。英語環境ですし、インターネットの普及による手書き不要の環境も原因の1つでしょう。しかし私たち日本人は心のどこかでやはり漢字に深い愛着があり、それを自分の手で書くことにある種の喜びを感じるものではないでしょうか。

文字通り経を写しますので、清書用の紙の下には手本を敷き、透けて見える文字をペンでなぞっていきます。ですから字の上手い下手は大きな問題になりません。漢字の書き順は何度か通うと覚えてくるでしょうし、ペンを筆ペンに替え、小筆に替えて書けるようになる頃には字も随分上達していることと思います。静かな心を持てる時間を是非体験してみてください。

さて2月7日は「北方領土の日」です。北方領土とは北海道の根室半島沖合いに位置する歯舞群島(はぼまいぐんとう)、色丹島(しこたんとう)、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)とそのほか北方の地域を指します。

外務省によれば、1855年(安政元年)2月7日に日本とロシアの間で日魯通好条約が調印され、択捉島とウルップ島の間に国境を確認。以後それらは日本固有の領土であるとしています。

しかし1945年8月14日に日本がポツダム宣言の受諾を決定した後、同月28日から翌月5日にかけてソ連軍がこの地を占領。日本は現在ロシア連邦によって実効支配されているこの地域の返還を求めており、これがいわゆる「北方領土問題」です。

1980年に国会の衆参両院にて「北方領土問題の解決促進に関する決議」が全会一致で可決されたのを受けて、都道府県議会や市町村議会など色々なところで同様の決議がなされました。そして翌81年1月6日、国民の関心と理解を深めて返還運動の一層の推進を図ることを目的に、閣議了解により「北方領土の日」が制定されました。

日にちの設定については、ソ連が択捉島への侵略を開始した8月28日などの候補もありましたが、最初の国境の取り決めが行われた日魯通好条約締結日に決定したそうです。

この日都内では、内閣総理大臣や外務大臣などの政府代表、衆参両議院代表、各党代表などが参加する北方領土返還要求全国大会が開催されます。

また北方領土の日実行委員会が「さっぽろ雪祭り」会場内で北方領土フェスティバルを開催したり、北海道総務部によるポスター・コンテストが行われたり、各地でさまざまなイベントが開催されています。

では左の作品を。行書の「北方領土」です。「北」や「土」で線の間が抜けているのは筆のせいです。割れやすくなっているんですね。このように逆手にとって利用する手もありますが書きづらさは否めません。手入れをしていてもやはり筆も消耗品には違いありませんので寿命とも言えるでしょうか。

戦後70年間解決されていないことを考えていたら書も少し重めの雰囲気になりました。相手のあることとはいえ長い我慢の年月であったろうと思います。日露双方が良い方向に向かっていけるよう、日本人として関心を失わないことが大事ですね。


著者プロフィル
れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。2010年、作品「ふるさと」が日本の国有財産として在豪日本国大使館に収蔵される。Government Houseでの企画展など日・豪・ドバイで作品展示多数。在豪日本国大使館、在オークランド日本国総領事館の招聘によるイベント参加やNSW州立美術館ほか各地で大書パフォーマンスやワークショップを展開。ハリウッド映画『The Wolverine』の製作に書家として参加。書団れん倶楽部主宰。チャツウッドで書道教室運営(月〜土)。写経クラス開設。
Web: nagominoma.com/renclub
Email: renclub@gmail.com
動画: youtube.com/user/renclub

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