プレシャス !、ザ・ハート・ロッカー、他

シネマ・チェック     ★=20点 ☆=10点

プレシャス !   Precious /MA (104分)

2月4日公開予定★★★(YS)

今月のムービー・レビュー

 ハリウッドの外国人映画記者協会が主催するゴールデン・グローブ賞の授賞式も終わり、後は3月7日に行われるアカデミー賞の動向が楽しみだが、今年の映画の賞レースで高い評価を受けているのが、この『プレシャス ! 』。
 1987年のニューヨークのハーレムが舞台。主人公は16歳の黒人の女の子。“プレシャス”というミドル・ネームを持つこの女の子は、 肥満で、読み書きもできず、父親からは性的暴行を受け続け、その父親の子どもを2人も生んで、さらに母親からも虐待を受けている…と、もう不幸のオンパレード。これだけ悲惨な話の映画を誰が観に行くんだろうか?
 しかし、話の内容とは違って、映画には大きな仕掛けがある。この女の子、何か嫌なことがあると、空想の世界に逃げ込むことにしている。悲惨な状況に追い込まれると、スターになり、多くのフラッシュを浴びている自分を想像する。現実から逃避し、自分の置かれている状況を直視しないようにしているのだ。ある意味、かなり残酷な描写なのだが、そんなシーンを挟むことによって、映画全体が暗く重いトーンにならず、観やすい作品に仕上がっている。

今月のムービー・レビュー

 初めは読み書きもできず、他人との交流も避けている彼女。しかし少しずつ読み書きを覚え、自分の本当の姿と対面し、それを受け入れていく過程を、淡々と、時にユーモアも交えて描く。最初は全く感情移入ができなかったが、ラストではすっかり彼女を応援している自分に気付くだろう。そのプレシャス役を演じているのがガボリー・シディベ。演技経験がなく、これがデビュー作。監督の力量なのか、本人の秘めた才能なのか、実に チャーミングに演じている。
 主人公を取り巻く登場人物も多彩。話題になっているのがスッピンのマライア・キャリー(言われないと分からない ? )、それにサングラスを外したレニー・クラヴィッツと、ミュージシャンである彼らが、印象深い演技を披露している。
 アメリカの貧困層にスポットを当て、問題提起もしているが、各映画祭で観客賞を多数受賞してることから分かるように、純粋に映画として楽しめる、今月のお薦めの1本。

ザ・ハート・ロッカー     The Hurt Locker /MA15+ (131分)
今月のムービー・レビュー

2月25日公開予定★★★★(MH)
 イラク戦争を舞台にした戦争映画だが、戦う戦争ではなく、イラク市内に仕掛けられた爆弾の解体をするアメリカ軍の危険物処理班の姿をドキュメンタリー・タッチに描く。爆弾の処理ということで、緊張感バリバリ。この極限状態の中での人間ドラマ、お気楽には観られないが、いざ気合を入れて、臨場感あふれる劇場の大画面で堪能することをお薦め。

バレンタイン・デー   Valentine’s Day /MA
今月のムービー・レビュー

2月12日公開予定★★★(MH)
 5つのラブ・ストーリーが交錯するロマンティック・コメディー。舞台はバレンタイン・デーのロサンゼルス。完璧な恋愛を求める老若男女の恋愛模様を、ジュリア・ロバーツ、アン・ハサウェイ、ジェシカ・アルバ、キャシー・ベイツ、ジェシカ・ビール、ジェニファー・ガーナー、シャーリー・マクレーン、クイーン・ラティファと、贅沢すぎるキャストの競演で描く。

フィッシュ・タンク   Fish Tank /MA (112分)
今月のムービー・レビュー

3月11日公開予定 ★★☆(TK)
 カンヌ映画祭で審査員賞を授賞した本作品の舞台はイギリス。15歳のミアは、母子家庭に暮らしながら、母や友だちとうまくいかずに孤立している。繊細な思春期の少女を通して、家族がお互いを支え合えないとどうなってしまうかを考えさせられた。繊細な人物描写と、役者陣の演技が素晴らしい。物語の展開もずっと先が見えないまま、堪能できた映画だ。

エッジ・オブ・ダークネス   Edge of Darkness /MA (116分)
今月のムービー・レビュー

2月4日公開予定 ★☆(CY)
 監督業に専念していたメル・ギブソンが久々に主演するサスペンス。ギブソン演じるベテラン刑事には、最愛の娘がいたが、何者かに射殺されてしまう。復讐の鬼と化した彼は法も無視して、巨大な組織を相手に壮絶な戦いを挑む。実生活では妻と別居し、愛人との間に2歳の娘がいるギブソン・55歳。渋い演技とアクション——。ファンには見逃せない映画だろう。

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