編集部イチ押し! 11月の新作映画をチェック

 辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
 

プリズナーズ
Prisoners
    クライム・スリラー/MA15+

今月のムービー・レビュー

公開中 満足度★★★★
隊長が観た!

ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ジレンホールが主演で、そのほか『ハッスル&フロー』のテレンス・ハワード、『ザ・ヘルプ』のヴィオラ・デイヴィス、『ザ・ファイター』でアカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞したメリッサ・レオが出演するクライム・サスペンス。豪華な脇役に、主演はヒューとジェイクということで、ド派手なアクション・シーン満載の脱獄系ハリウッド娯楽作と思ったら、かなり重い映画で、観終った後はヘトヘト…。クライム物でダークな雰囲気は、同じくジェイク・ジレンホールが主演したデビッド・フィンチャー監督の『ゾディアック』と似ている。

ストーリーは、家族ぐるみの付き合いがある2つの家族が、感謝祭の日にディナーをともにする。しかし、両家族の娘2人がこつ然と姿を消してしまう。必死に探すが見つからず、警察も捜査を始める。そして、家の近くにRVトレーラーが止まっていたという家族の話から、トレーラーのドライバーであるアレックスを捕えるが、決定的な証拠がなく釈放されてしまう。なかなか進展しない捜査に、子どもの父親ケラーは、自分のやり方で犯人を捕まえ、娘を取り戻そうとするが…。

その父親役がヒュー・ジャックマン、事件の捜査を行うのがジェイク・ジレンホール。ジェイクは、昨年の『エンド・オブ・ウォッチ』の警官役に続いて同じような役回りだが、キャラクターは全く違い、「またかよ」という感じはなかった。髪型も違うし、今回は捜査官ということで制服もなく、カブることはなかったからだ。

そして、先日公開された『ウルヴァリン:SAMURAI』のヒュー・ジャックマン。立て続けに主演作が公開されているが、どうも今作はミスキャストのように思われる。インタビューなどで見る、彼の「いい人」イメージが邪魔して、娘を誘拐された怒りに狂うお父さん役が、どうしても「過剰な演技をしているヒュー様」にしか見えなかった。それに暴力シーンがけっこう強烈で、「自分がイメージしていたヒューは、絶対こんなことはしないだろう」と思ってしまって、どうもしっくりこなかった。こういったバイオレンスは、悪を封じ込めるためだったり、リベンジの爽快感などが伴うものだけど、今作は全く逆。不快感しかなかった。

しかし監督は、アカデミー賞の外国語映画部門にノミネートされた『インセンディーズ/灼熱の魂』で壮大なドラマを撮り切ったデニ・ヴィルヌーヴで、さらにコーエン兄弟の作品で有名なロジャー・ディーキンスが撮影をしており、雨まじりの雪景色など、田舎街の閉塞感や、寒々しい空気をうまく表現していて、映画のテーマにピッタリで見応え十分。もう少しカットして短くしてもいいかとは思ったけど、ドッシリとした一流のクライム・サスペンスなのは間違いなく、お薦め。

ただ、体力のある時に…。気軽に観られる金曜の夜の映画のつもりで行ったら、上映時間も長く、少女の誘拐事件がテーマで、さらに不快な暴力シーンがあったりと、それらが1週間分の仕事の疲れと一緒になって、最後にはグッタリしてしまう。ヒュー・ジャックマンが主演だけど、先に書いた通り、いつもの彼とは違った役回りなので、ヒュー目当ての女性にはあまり薦められないかも。タイトルが、プリズナーズと複数形になっているところも、意味深。


フルーツベイル・ステーション
Fruitvale Station
     ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

11月7日公開予定 期待度★★★★

2009年の元旦、カリフォルニア州オークランドの地下鉄内での喧嘩で、警官たちに取り押さえられた黒人オスカー・グラント(当時22歳)が無抵抗のまま警官に射殺され、その事件を携帯で録画した映像が全米に流れて論争を巻き起こした。この実話を元に、オスカーの最後の1日をライアン・クーグラー監督が映画化。2013年のサンダンス映画祭では、審査員賞と観客賞をダブル受賞し、さらに話題に。人種差別や、命の尊さについて考えさせられる感動作。


マイティ・ソー/ダーク・ワールド
Thor: The Dark World
     アクション・ファンタジー/レイティング未定

今月のムービー・レビュー

10月31日公開予定 期待度★3.5

大人気マーベル・コミックの映画シリーズで、北欧神話のトール神をはじめとした神々などが登場し、オーストラリア俳優クリス・ヘムズワースが主演を務める「マイティ・ソー」の続編。アメコミのスーパーヒーローが活躍した『アベンジャーズ』から1年後、ソーは、宇宙誕生前から存在する原始民族の攻撃から9つの世界を守る戦いに挑んでいた。しかし、偉大なる父オーディンやアスガルドでさえ太刀打ちできないことが分かり…。大迫力のアクションは3Dで。


悪の法則
The Counselor
     クライム・スリラー/レイティング未定

今月のムービー・レビュー

11月11日公開予定 期待度★★★

ピューリッツァー賞を受賞したアメリカの文豪、コーマック・マッカーシーのオリジナル脚本を『エイリアン』『ハンニバル』でお馴染みのリドリー・スコット監督が映画化。マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピット、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムなどの豪華キャストが出演している。カウンセラーと呼ばれる弁護士は、友人や裏社会のブローカーらと麻薬取引に手を出すが、想像以上のトラブルに巻き込まれていく…。


フィフス・エステート
The Fifth Estate
     ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

11月7日公開予定 期待度★3.5

匿名により政府や企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイト「ウィキリークス」を題材にした映画。ジュリアン・アサンジ役をベネディクト・カンバーバッチが演じる。元メンバーのダニエルの視点から内幕が描かれており、天才ハッカーであるジュリアンとの出会いから別れるまでの数年間の友情が、さまざまな事件とともに表わされている。アサンジ氏自身は今作をよく思っていないらしいが、大きな議論を巻き起こした、気になる話題作。

 

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