味、技、文化のコラボレーション

メルボルントピック
料理は一晩で約200人分を作る(写真は昨年のもの)

メルボルンで“料理の鉄人イベント開催”

味、技、文化のコラボレーション

  来る6月18、19日、メルボルン市内のRACVクラブで「2011 Iron Chef Event in Melbourne」が催 される。この豪華ディナーに腕をふるうのは、フレンチの鉄人・坂井宏行氏、中華の鉄人・陳建一氏、 そしてメルボルンからはRAVCの総料理長・マーク・ノーモイル氏。メルボルンを会場としては初めて となる同イベントを目前に、それぞれの思いを語ってもらった。

食文化の街で新しい発見を   坂井宏行
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「肩の力を抜いて、すべてを楽しんでくださいね」(坂井氏)

 2005年、その第1回目が開催された同イベン トへの参加は、当時、シドニーのオブザバート リー・ホテルの総料理長だったフレンチ・シェフ の犬飼春信氏に誘われたのがきっかけだった。 「テレビ番組の“料理の鉄人”の知名度から声を かけていただいた感じですね」。以来、シドニーなどの有名 ホテルで毎年イベントが開催されてきたわけだが、常に心が けていることは、お客様の期待の上を目指すということ。 「また、次回も行きたいと思っていただけるようになればい いなと、毎回考えています」。
 実は、18歳で初めて出かけた海外滞在先がパース。「オー ストラリアは、広大な土地柄からゆったりとした時間が魅力 の、僕の大好きな国の1つ。その地に毎年呼んでいただけるこ とは料理人冥利に尽きますね」。 そして今回は、会場をこれまでのシドニーからメルボルン に移しての開催となるわけだが、メルボルンは初めてとのこ とで、「文化都市だと聞いていますので、新しい発見がある ことを期待している」という。メニューの方も、地元メルボ ルンの旬を意識した、自身が得意とするものを既に提案ずみ らしい。「今回ももちろんそうですが、主催者側には毎年、 料理だけでなく、サービスやパフォーマンス、そのほかの企 画など、イベントを総合的に楽しんでいただける内容になる ようにお願いしています」。
  毎年、必ず持参するものは、もちろん自分のナイフ。食材 などは持ち込みに制限があるため、できる限り現地で調達し てもらう。「時々、素材の違いや大きさに戸惑うこともあ りますが、そこはプロですから…。元来、前向きな性格な ので、特に苦労することはありませんね」。大変なことより も、それぞれの地で、新しい来場者やオーストラリアに移住 している日本人たちと会える楽しみの方が大きいという。
 ところで、同イベントは、地元の有名シェフとのコラボ レーションによるフルコース・メニューで知られている。今年 は、もちろん中華の鉄人・陳建一氏と、会場となるRACVの総 料理長、マーク・ノーモイル氏とのコラボレーションとなる。 「陳さんとは何度も国内・外で一緒にイベントをしていますの で“阿吽の呼吸”ですね。マーク・シェフとは初めてお会いしま すが、同じ料理人同士なので作業に問題はないと思います。 ま、陳さんには僕の教えた通りの“麻婆豆腐” を作ってもらい たいですね。ジョークですけど(笑)。マーク・シェフにはよ ろしくね ! という気持ちでしょうか」。
 今回はイベント以外にも、ホスピタリティー関連の学校へ の表敬訪問があるらしい。「皆さんには、目的意識を持っ て、焦らずに。心に少しのゆとりを持つこと、自分を信じて いつでも前を向いて歩いてほしいです」。 そして、来場者には「肩の力を抜いて、すべてを楽しんで くださいね」。
坂井宏行(さかいひろゆき):1942年鹿児島県出身。59年に新大阪ホテルで修行 をした後、19歳でオーストラリアのパースに渡り、ホテル・オリエンタルで働き帰 国。銀座「四季」、「ココ・パームス」(青山)、「西洋膳所ジョン・カナヤ」(麻 布)を経て、80年、青山に「La Rochelle」をオープン。94年からフジテレビ系番組 「料理の鉄人」に出演。


お客様も自分たちも楽しみたい   陳建一
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「火と鍋さえあればどこでも大丈夫!」(陳氏)

 テレビ番組「料理の鉄人」では、坂井氏よりも数カ月早く に鉄人デビューを果たしているが、同イベントへの参加は2 年遅れの07年から。「ムッシュ(坂井氏)から誘われてね。 オーストラリアは良いゴルフ場も多いらしいよって言われた んだよね」。以来、「お客様が常に楽しんでいるかを意識していますね。そしてもちろん、スタッフも含めて自分たちも楽しみたいよね」。
 坂井氏同様、メルボルンは初めて。「新しい出会いがある かな。食文化の高い街と聞いているので、楽しみだね」。た だし、持ち込み制限の厳しいオーストラリア、しかもメルボ ルンの中華街はシドニーほど大きくはない。気になるのは調 味料などの調達だと思うが、「シドニーで知り合った料理店 にも調味料などの面で助けていただくかもしれないので、そ れほど心配はしていませんよ」。スタジオ、レストラン、そ して海外のキッチンと使い勝手の違いにも「どんなところで も、ベストを尽くしますよ。火と鍋さえあれば大丈夫 !」と心 強い言葉。
 毎年入るヘルプについても、「同じ調理人同士ですから、 すぐに分かり合えますよ」と、文化や習慣の違いを気にする ふうでもない。しかも言葉の違いに関しても「僕はジェス チャーで伝えちゃいますからね !」と屈託がない。
 気になるメニューの方は ? やっぱり「麻婆豆腐」は含まれ ているのだろうか ? 「もちろんだよ ! 麻婆豆腐は僕の料理の 原点だからね ! 楽しみにしていてくださいね」。そしてそっ と教えてくれた、メルボルンとの深い関係。「実はね、僕の 店で使っているアワビは、メルボルン産なんですよ」という ヒントに、メニューのラインナップを垣間見ることができる かもしれない。
 会場はこれまでと同様、今年もカメラでキッチンの様子を 追いながら、ダイニング・エリアに設置された大型モニターで 来場者に中継する趣向だ。これに対して、新しい試みとして は「できるだけ、お客様に近い所で調理したいですね。手際 の良さや音、香りも楽しんでいただけたら嬉しいね」との希 望を伝えてあるそうだ。そして同時に、毎年変わらずに主催 者側にリクエストしていることがある。それは“まかない”。 「スタッフたちのまかない料理にも気を遣ってくださいっ て、言っています。決して豪華なものを要求している訳では なくてね」。事前の日本サイドでの準備が大変ながらも、皆 にもとても良い経験をさせることができると、スタッフ思い の人柄が伝わってくる。
 自身にとっては今回で5回目となる同イベン ト。坂井氏とのコラボレーションに対しては 「ムッシュ、いつものように頑張りましょう !」 とガッツポーズ。そしてマーク・シェフに対して も「仲良くやりましょうねー」。 来場者にはもちろん、「陳建一流のおもてな しをお楽しみに !」。
陳建一(ちんけんいち):1956年東京出身。玉川大学卒業 後、四川料理の神様といわれた父・陳建民の下で修行を始め る。93年から出演したフジテレビ系番組「料理の鉄人」で は、最長出演者でもある。「四川飯店」グループのオーナー・ シェフを務めるかたわら、著書出版、テレビ・雑誌などのメ ディアへの出演多数。


シェフにはシェフの文化がある   マーク・ ノーモイル
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「プロとして、プロのための準備が一番大切」(ノーモイル氏)

 今回、開催地をメルボルンに移すにあたっ て、会場となるRACVのホストとして、キッチ ン・サイドだけでなく、イベント全体のコーディ ネートにも関わっているという。「鉄人の2人が メルボルンでの時間を楽しめるように、また来 たいなって思えるように準備しています」
 同イベントについてはこれまで知らなかっ たというが、業界仲間のシェフ、荒金育英氏 に相談されて、会場の提供を決めたそうだ。 「RACVクラブには鉄人たちが泊まるにも都合 の良い5つ星ホテルもあるし、何しろキッチンは メルボルンでも最大クラスですからね」。これまでにミシュ ラン・シェフを招くなどのフード・イベントを成功させてきた 実績もある上、クラブ・メンバーは同種のイベントの参加に積 極的だという理由もあったそうだ。
 「もちろん、メルボルンという街にとっても、鉄人を招いてのイベントは素晴らしいことですよ」と声を弾ませながら、オーストラリアのフード・キャピタルと呼ばれるメルボルンで
の開催の意義の大きさを語る。「メルボルンの人たちは多文化に対してとても好意的です。それは食文化に対しても言えることで、国籍の数だけスパイスがあり味があるのが、フード•キャピタルと呼ばれる所以なのでしょう」。だからこその、日本の鉄人シェフのイベントなのだという。
 およそ5時間にわたるイベントのメニューは、6コースを3 人で2品ずつ作ることになっているそうだ。「僕はメインと デザートです。どちらもメルボルンならではの食材を使いま す。メインは伝統的なオーストラリアの家庭料理とだけ言っ ておこうかな。デザートはチョコレート系。メルボルンでは チョコレートが人気だからね」。まだ面識のない鉄人2人で はあるが、主催者を通して入手したイベント詳細を基にメ ニューをデザインし、3者のメニューをまとめたそうだ。「そ れぞれの料理には州内はもとより、国内、ニュージーランド 産のプレミアムのワインも選んでいますよ」。
 会場は同クラブで最も大きく、メルボルンの街を一望で きるファンクション・ルームを使い、キッチン・スタッフを始 め、前述の荒金氏もヘルプに入るほか、日本食シェフから の問い合わせも入っているという。「ヘルプの中には荒金さ んを含めて日本語の分かるシェフがいるから、言葉に関し てはそれほど心配していないですよ」。一番大切なことは、 プロがスムーズに作業できるよう、プロとして、しっかりと 準備を整えておくことだという。「シェフっていうのは、家 族みたいなものなんですよ。違う土地の違うキッチンへ行っ ても、家族のように受け入れてくれるものなんです。日本と オーストラリアはもちろん文化が違うけれど、“シェフには シェフの文化”がありますから、彼らと作業することには何の 不安もないですね」。
 メルボルン初のイベントを行うということ、そしてスポッ ト・ライトを浴びるということは自身にとっては大きなチャレ ンジとして、待ち遠しいという。
 「来場者の方々にとっては一生に1度とも言えるほどの高級 ディナーかもしれませんが、それだけの価値のあるものであ ることは確かなので、ぜひ一緒に楽しみましょう」。
Mark Normoyle(マーク・ノーモイル):15歳からシェフとしてのキャリアを積 み始め、Ularu Ayers Rock リゾートでデミ・シェフとなる。その後、シェラトン・ ミラージュ・ホテル、ホテル・ソフィテル・メルボルンを経て、シェフ・デ・クイジン に。02年RACVのオープンに伴い副総料理長、09年には総料理長に昇格。ビクトリ ア総料理長協会会長。


2011 Iron Chef Event in Melbourne
■日時:6月18日(土)、 19日(日)6PM~(各日とも)
■場所:RACV City Club,Melbourne
■料金:$485
■予約・問い合わせ:1800-105-451JTB, www.ironchefevent.com.au ironchefevent.au@jtbap.com

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