No.36 野鳥と白ワラビー、ブルニー島

タスマニア再発見
The Neckの展望台からの壮大な眺め

タスマニア再発見

No.36 野鳥と白ワラビー、ブルニー島

文=千々岩健一郎

ホバートの港からダーウエントを下った河口に長細い島がある。最近、この島の南岸を高速ボートで楽しむエコ・クルーズで一躍人気の出ているブルニー島だ。この島には、ホバートから車で40分のケタリングの港からフェリーに乗って渡る。日帰りでも行って来られる島だが、なかなかどうして島内の移動には結構時間がかかる。それもそのはず、島の長さは南北でおよそ100キロにもなり、フェリーの時間に間に合わせようと未舗装道路をすっ飛ばして事故を起こす輩が多いためか、レンタカー会社によってはこの島への出入りを禁止しているほどだ。ブルニー島への訪問は日帰りではなくぜひ泊りがけで訪問してほしい。

まず見所の最初は、北島と南島をつなぐタスマニアで最長の地峡「ネック(The Neck)」だ。車を止めて小高い丘を登ると360度を見渡せるトルガナンナ(Truganini)・ルックアウトがある。ブルニー島で生まれて1876年に最後のタスマニア・アボリジニとして亡くなったトルカニニの記念碑があるのでこの名前で呼ばれている。このネック周辺にはフェアリー・ペンギンとミズナギドリのコロニーがあり、夏の夕暮れ時に訪問するとそれらの帰巣の様子を観察することができる。

アドベンチャー・ベイはこの島の中心の町で、周辺に宿泊施設、食料品店、レストラン、クルーズの発着場所などがあって島での生活には不可欠の場所だ。同時にこの入り江は、昔から数多くの海洋探検家が立ち寄り、錨を降ろした場所になっている。この島の名前も、1792年に訪問したフランスのブルニー提督(Bruni D’Entrecasteaux)に因む。有名なキャプテン・クック、フリンダース、ブライなども訪れており、これらの探検家たちの資料を展示した博物館もある。

最後のポイントは、島の最南端ブルニー岬の高台に立つ灯台だ。この島の南端部一帯は、サウス・ブルニー国立公園になっていて、海岸線には切り立った荒々しい断崖が続いている。灯台の建物は古く、入植から間もない1838年にこの付近での遭難を防ぐために囚人たちの手によって造られた歴史ある建造物である。

この灯台岬はぜひとも訪れてほしいポイントであるが、ここからフェリー乗り場のロバーツ・ポイントまではいくら急いでも1時間はかかる。日帰りの場合は要注意。

最後に、この島で宿泊した場合は白いワラビーたちとの対面をお忘れなく。アドベンチャー・ベイ周辺の草原では暗くなるとともに真っ白なワラビーたちの小集団が登場して来る。ブルニーはまた、野鳥の観察に適した島としても人気がある。


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千々岩 健一郎 プロフィル

タスマニア在住18年。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する同社の運営を行なうとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。特に植物関係の造詣が深く、その専門知識をもとに各種の自然観察ツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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