1日食べ歩き、ブルニー島

タスマニア再発見

No.139 1日食べ歩き、ブルニー島
文=千々岩健一郎

ホバートの南、ダーウエント川の河口に位置するブルニー島は週末のキャンプや沿岸を巡るクルーズなどで人気のある所だが、最近はもっぱらグルメの島として注目度が上がっている。

最初に牡蠣(かき)の養殖場に併設された「Get Shucked Oyster Bar」というお店がオープンしたのがそのきっかけだろう。フェリーのターミナル、ロバーツ・ポイントから20分程度で到達、1日食べ歩きのエントリーを楽しむのに絶好の場所だ。

お店では、目の前で剥いた牡蠣を生、キルパトリック(伝統料理)、フライの3種類の調理法で食べることができる。生で食べるのが一番だが、日本でおなじみのカキフライが食べられるのはうれしい。そして最近、この店に隣り合わせてチーズとビールの店「Bruny Island Cheese and Beer Co.」がオープンし、この島のグルメ人気に拍車が掛かった。

チーズのこだわりは、まず原料のミルク。現在では希少な乳肉兼用種から搾ったものを使い、主にフレンチ流のエージングの利いた味に特徴がある。ビールも手工業的な醸造技術を使い、新種のホップやチーズ工場の副産物で出たホエイを利用したものなどユニークだ。自前の薪(まき)オーブンで焼き上げるバケットと共に楽しんでいると瞬く間に時間が過ぎてしまう。

「Bruny Island Cheese and Beer Co.」のチーズ・プラッター
「Bruny Island Cheese and Beer Co.」のチーズ・プラッター

近くにあるトルカニニ展望台の長い階段とビーチを歩いて腹ごなしをしてから昼食を取り、ワイナリーに向かう。オーストラリア最南端とうたい文句のあるワイナリー「Bruny Island Premium Wines」はここからおおよそ30分のドライブ。併設のカフェ・レストランでは、テイスティングのみならず充実したメニューの昼食が楽しめる。金曜と土曜の夜は夕食も提供しているので、週末に泊りがけで来る方はぜひ。ワインに加えて、ヒューオン・バレーで採れたリンゴのサイダーも人気がある。

午後はフェリー・ターミナルに向けて移動しながら、少し甘いものも楽しもう。季節が合えばアドベンチャー・ベイの近くのベリー・ファーム。「Bruny Island Chocolate Company」はメルヘンチックな店構えのチョコレート・ショップ。「The Honey Pot」はガラスの巣箱のあるハチミツ屋さん。グルメ旅行の締めは、ターミナルからわずか3キロに位置する「House of Whiskey」。このところ躍進著しいタスマニアのシングル・モルト各種のテイスティングができる。1日食べ歩きは個人でも訪問可能だが、ホバートから参加できるバス・ツアーもあるので車のない方はぜひ。


千々岩 健一郎(ちぢわけんいちろう)プロフィル
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手掛けている。北海道大学農学部出身。

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