No.62 ヒューオン・バレーその3 ジーベストン

タスマニア再発見
森林ミュージアム

タスマニア再発見

No.62 ヒューオン・バレーその3 ジーベストン

文=千々岩健一郎

ホバートからの1日ツアーでヒューオン・バレーの重要なアトラクション、ハーツ・マウンテンやエア・ウォークを訪問する場合、小休止をするのに最適な場所がこの町だ。ホバートから6号線のハイウエーを南下していくと、ポート・ヒューオンの古い船着場を少し過ぎた辺りに、ユーカリの大木のゲートが登場する。いかにも林業地域への入り口を象徴するようなモニュメントだ。このゲートを過ぎるとジーベストンの町はもうまもなく。エア・ウォークのサインを右折して、ヒューオンの支流アーヴ川に向かうアーヴ道路に入ると、すぐそこに町の入り口がある。

小さな町で人口は1,500人ぐらいだろうか。1842年に英国からやって来たウィリアム・ジーブス一家が入植し、この町がスタートした。やがて、彼の名前を取ってジーブス・タウンとなり、その後、現在のジーベストンとなった。ホバートの南方62キロに位置し、豪州最南端に近い。

この町で必ず訪問してほしいのは、ザ・フォレスト&ヘリテージ・センター(森林ミュージアム)。タスマニアにとって林業は入植以降、重要な産業の1つである。最近でこそ、某団体の一面的な運動で衰退の一途をたどっているが、このセンターでの展示を見ていただくと、木材と人間が関わってきた歴史が一目瞭然に理解できる。ユーカリをはじめとする木の種類の多様さや森林生態のありようもさることながら、産業革命の時代から進歩してきた木材加工の機器のコレクションも見ごたえがある。

ヒューオンの名前を取った固有の銘木ヒューオン・パインを加工した木工の工芸品も多いが、さらに建物の外に展示され町の目印にもなっている男女の木彫の立像にも注目。この施設はインフォメーション・センターを兼ねているのでヒューオン・バレーの総合的な情報を入手しよう。

さて、もう1つ紹介したいこの町の最近の名物は、実はお寿司屋さんである。その名は「Masaaki’s Sushi」。最近、日本のテレビの関心は“世界の果ての何とか”なんていうのが多いが、その伝で行くと、おそらくここが「オーストラリアで最南端のお寿司屋さん」かつ日本レストランであろう。しかも、この店の寿司はなかなか捨てたものではない。昨今のお手軽テイクアウェイの巻き寿司とは一線を隔す、本格的なものである。タスマニア産の水産物のみならず、カラフルな野菜などをうまくあしらい、なかなか本場日本でも見られない美しい作品を創り上げている。そう、料理と言うよりも作品と言った方が妥当かもしれない。小さい町の小さい店で、営業している日は限られているので、この店のお寿司を目的にジーベストンを訪問する場合は、事前に営業時間を確認することをお勧めする。


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千々岩 健一郎 プロフィル

タスマニア在住21年。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する同社の運営を行なうとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。特に植物関係の造詣が深く、その専門知識をもとに各種の自然観察ツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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