No.57 ペンギンがいっぱい? ペンギン

タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.57 ペンギンがいっぱい? ペンギン

文=千々岩健一郎

「陽光あふれる北岸の」というと日本の人はおやっと思うかもしれない。もちろん南半球のタスマニアは南岸よりも北岸の方が暖かく日当たりがいいのだ。

タスマニアの北の玄関口デボンポートとバーニー、2つの港の中間に、この陽光あふれる北岸の町ペンギンがある。新しい1号線のバイパス・ハイウエーをふっ飛ばしていくと見落としてしまう小さな町だが、ペンギンという愛らしい名前に惹かれて思わず立ち寄っていく人も多い。

名前の由来はもちろん、入植当時にこの付近には世界最小のリトル・ペンギンの巣が多数存在し、毎晩多くのペンギンたちが上陸していたことによるのだが、人間とともにペットの犬や猫が増えてその数は大幅に減少。現在ではほとんど本物の姿を見かけることはできない。しかし、町の中には至る所に“ペンギン”があふれている。

メイン・ストリートにあるメモリアル・パークのペンギン像はその代表。高さ3.5メートルのコンクリート製で、1975年の町の創設100周年を記念して作られたものだ。町の通りにはペンギンのレリーフの付いたゴミ容器が、いま時では珍しく無数に設置され、ビジター・センターの前にもかなり大きなペンギンがいる。

このように、ペンギンの好きな人には訪問が不可欠の場所であるが、この町のそのほかのセールス・ポイントとして忘れてならないのが、ペンギン・マーケット。町の元学校の建物と運動場を会場に毎週日曜日に行われるこのマーケットは、屋内を会場とするこの手のイベントとしては州で最大と言われ、100店舗ほどが出店してにぎわいを見せる。木工品などの手作りクラフトや家具、骨董品、手作りのケーキや野菜などの食品、衣料品、地元のアーティストの作品など、さまざまなものが出品される。

いま1つは、海岸線の道路に沿って設けられたガーデン。この町からアルバーストンに通じる道路は、バス海峡に面して走る風光明媚なルートで、ペンギン・ロードと呼ばれている。町を抜けた辺りの海岸線に沿って走る鉄道線路と自動車道路との間にさまざまな花が植えられて、季節ごとにここを走る人々の目を楽しませてくれる。近くに住む人々の丹精によるもので、訪問の際にはこの旧道ハイウエーをぜひとも走ってほしい。

しかし、このペンギンの町で本物と出会うことができないのは本当に残念なことである。やっぱり本物のペンギンが見たいという人は、この町から近いデボンポート郊外のリリコ・ビーチ、あるいはバーニーの市内の海岸に設けられた観察スポットを日の入りのころに訪問してみてはいかがだろう。


タスマニア再発見

 

千々岩 健一郎 プロフィル

タスマニア在住21年。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する同社の運営を行なうとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。特に植物関係の造詣が深く、その専門知識をもとに各種の自然観察ツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る