改修工事完了「ホーイ岬トラック」

タスマニア再発見
「ホーイ岬トラック」からの絶景

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No.79 改修工事完了「ホーイ岬トラック」

文=千々岩健一郎

今回は、タスマン半島国立公園の断崖の上を歩くホーイ岬トラックをご紹介します。現在、タスマニア州の国立公園局が中心になって進めている、スリー・ケープス・トラック・プロジェクトの一部分を構成するトラックで、その初期段階として最近その改修工事が完了しました。

スリー・ケープス・トラックとは、宿泊型長距離ウォークのサーキット・コースで、タスマン半島の3つの岬、ホーイ岬、ピラー岬、ロール岬を数泊しながら歩く合計82キロに及ぶコースです。タスマニア観光の新たな魅力になるべく期待されている計画で、ホーイ岬を中心とする最初のステージは今年11月ごろオープンの予定です。

ポートアーサーに近いタスマン・ハイウェイから未舗装道路を10キロ以上走ってようやく、ホーイ岬トラックの現在のスタート地点、フォートエスク湾に到着します。トラックは湾内にあるキャンプ場の船着場付近から出発して、岬の先端まで片道4.7キロ、往復約4時間。昼食や写真タイムも含めると往復5時間を考えておくと良いでしょう。

改修のおかげで階段状に整備され歩きやすくなった登り道を、山火事跡を見ながら1時間ほど歩くとピラー岬に向かうトラックとの分岐点に出ます。標高は180メートルくらいでしょうか、この中間休憩ポイントを過ぎると、はるかな断崖の岬先端を見下ろす下り道となり、いったん100メートルほど下りますが、その後再び登り道になり、粗粒玄武岩の柱状節理(※編注:下記参照)の断崖の上を歩いて進みます。トラックのすぐ横は高さ80メートルの切り立った岸壁。手すりも柵もなく、覗き込むと下のほうには岩に砕ける白波が見えます。

岬の先端部分に到達すると、ランタンと呼ばれる2つの巨大な岩の島と、その手前のトーテム・ポールとキャンドルスティックと名付けられた岩の塔が見えます。この岬はほぼタスマン半島の東側に突き出していますので、左右は海、右の彼方にはピラー岬、左の彼方にはイーグル・ホークネック方面が一望できます。

夏場のコースの途中では、紫色の鮮やかな野性蘭サン・オーキッドを探してみてください。好天時はハリモグラと遭遇することもあるでしょう。岬の先端からは、アルバトロスやシロハラウミワシの旋回する様子が観察できるかもしれません。

※節理…岩体に発達した規則性のある割れ目のうち、両側にずれの見られないものを指す。マグマなどが冷却固結する際や地殻変動の際に生じる。


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千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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