足に色がついている、 そしてカンガルーじゃない

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

足に色がついている、 そしてカンガルーじゃない

 発酵タンク、パイ プ、ポンプ、そしてワ イン製造機のかくはん 棒に囲まれて、日光を 浴びるのはランチの時 間帯だけという、小さ いながらも普通の家が ある。まるで誰かが持ち運ぶのを忘れ去ってしまったように、1 人でいる。いやむしろ、このワイナリーの 元の設計が家を必要としたかもしれない。
 このワイナリーのオーナーは、毎日、 ランチにパスタを食べに家に帰る。彼の 家族はシチリア島出身で、1957年にオー ストラリアに移住、NSW州のイェンダの すぐ郊外で農場を始めた。
 伝説はそこから始まった。大手ワイナ リーにワインをバルクで出荷して何年か 経った後、このワイナリーは、自分たち のブランドに挑戦することを決意。最初 の結果は、何と言ったらいいか、まあ、 そこそこ。ただでさえブランドを一から 立ち上げるのは大変だ。まして、比較的 安いバルク・ワインで知られる地域のワイ ンからなんてなおさらだ。

ベン・ホルトの豪州ワイン物語
イエロー・テイルのロコ

  それからしばらく経ったある日、この ワイナリーに新しく着任したセールス& マーケティング担当者は、もう少し目立 つラベルがないか、グラフィック・デザイ ナーと話し合っていた。たまたまデザイナーが、カンガルーではなく、ワラビー をモチーフにしたかなり派手なラベル・デ ザインを見せてくれたのはこの伝説の分 岐点。ワインの販売先はアメリカ。ワラ ビーなんて目立つキャラクターは、きっ とアメリカの消費者の心をつかむだろう という素朴な希望を抱いてイェンダの町 から輸出を始めた。
 アメリカでの初年度の売り上げ目標数 量は2万5,000ケース。アメリカ市場の 規模から見れば保守的なターゲットだっ た。ところが、誰もが驚いたことに、 たった1年以内に100万ケースを突破 ! ワ イン業界では前例のない、サクセス・ス トーリーの始まりだった。10年間で、こ のワインには21種類のラインナップがそ ろい、約1,000万ケースが世界中で販売さ れるようになった。
 飲みやすくて親しみやすい果実味。そ れに目立つラベル。このワインのスタイ ルは、土地と土壌につながっている造り 手のカセラ一家を色濃く反映している。
 もちろん、僕が話しているのは、「イ エロー・テイル」のこと。ラベルに映って いるワラビーは、手足と尻尾が黄色いイ エロー・フーティッド・ロック・ワラビー。 そして、このワインはワラビーが大地を 跳ぶように世界中で驚くべき成功を遂げ ている。オーストラリアに住む移民たち の努力に乾杯!
Web: www.yellowtailwine.com


ベン・ホルト
オーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長。クイーンズランド大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年から07年9月までオーストラリア・ワイン事務局日本代表を勤めたのち、現職。
Web: www.australia.com
(オーストラリア政府観光局)
Twitter: Mr_Riesling
Facebook: http://bit.ly/crsglP

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