全長27キロ、幅2キロ未満

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

ベン・ホルトの豪州ワイン物語

全長27キロ、幅2キロ未満

一体、上の題は何のことでしょう?読者の方は、私が「最高の飲み物」に関係あることを話していると思っているでしょう。それは当たっています。

南オーストラリアの南東の隅に注目してみよう。小さな町ペノーラに向かって、アデレードから5時間ほど、リドック・ハイウエーに沿って車を走らせる。

そして、百万年前に遡る。

当時、海はこの辺りのかなり内陸のナラコート・レンジまであり、やがて海が大地とぶつかる境界線に、砂丘のある海岸ができた。そして、およそ5万年のうちに、氷河期の事象により海が南極の一部と化し、海水が後退した。その間、この地域の地面は5メートルほど上昇し、後に地球が温かくなって海が元のように戻ると、さらに西の方に新しい海辺と海岸線が作られた。

次の氷河期もこの過程を繰り返し、しばらくして少し高い海岸線ができて、また少し西の方へ…。この過程は幾度となく繰り返され、現在の海岸に向かって連続した海岸線が形成された。

また、内陸のナラコート・レンジと2番目の海岸線の間には淡水湖があった。


クナワラの有名な「テラ・ロッサ」

湖の貝が死んで湖底に沈んでいき、そこに厚い炭酸カルシウムの堆積物を残した。地層が上昇し、この湖が消滅してしまうと、白いライムストーンの層が残った。そして、中間にあった最初の海辺が隆起して現れ、このライムストーンに上を覆われていた。

やがて、降水がライムストーンを溶かし、土壌ができた。そこへ有機物質が入り、高い濃度の鉄分を含んだ物質も入り込んだ。この鉄分こそが肥沃な赤い大地を作り出したのだ。この隆起は、およそ1.2メートルの高さがあり、2キロほどの幅で、27キロ・メートルにわたり南北に広がっている。ブドウはこの上に植えられ、世界的に有名なカベルネ・ソーヴィニヨンが生まれる。

ようこそクナワラへ、そして有名な「テラロッサ・ソイル」(赤い土)へ。ここのカルベネの味は豊かで、パワフル、そして熟成しても味が落ちない。

「バルネイヴス」「ボーエン・エステート」「ホリック」「カトゥナック」「レコンフィールド」「パーカー」「ライミル」「ウィンズ」、そのほかたくさんの素晴らしいワインをぜひお試しあれ。


ベン・ホルト
◎ヒルトン・ワールドワイド・マーケティング統括本部長(日本・韓国・ミクロネシア地区担当)。QLD大学で文学修士(日本語と韓国語)ならびに科学修士を取得後、在豪日系企業などで食品輸出、商品取引、マーケティングに従事。2002年~07年にオーストラリア・ワイン事務局日本代表、12年5月までオーストラリア政府観光局日本地区マーケティング本部長を務めた後、現職。

Web: www.holt-blog.com
Twitter: Mr_Riesling
www.facebook.com/Ben.Holt.69
 

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