生理痛とひどい出血「子宮腺筋症」とは?

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Q

生理痛とひどい出血で悩んでいて産婦人科で受診したところ子宮腺筋症と診断されました。子宮筋腫でも子宮内膜症でもないと言われましたがこれはどういう病気なのでしょうか。(40代女性=主婦)

A

子宮内膜が子宮の内面だけに起こらないで、子宮外(卵巣や骨盤内のあらゆる臓器)にできたり、子宮の筋肉層の中にできたりすることがあります。この子宮の筋肉層に子宮内膜が増殖した疾患を「子宮腺筋症」と言います。閉経後にホルモンの影響が減少することで、病気は改善します。

子宮腺筋症の症状

症状は子宮内膜症や子宮筋腫の症状と似ています。月経痛、月経過多、腰痛、性交痛などです。ひどければ貧血を起こしたり、不妊の原因になります。40代を過ぎて既に妊娠を経験している人によく見られますが、最近では妊娠の経験がない若い人にも発症しています。初潮を迎えてから20代前半までは生理痛が起こることがよくあります。もし、25歳を過ぎてからまた生理痛がひどくなる場合は子宮内膜症、子宮腺筋症、あるいは子宮筋腫が原因かもしれません。

子宮腺筋症の分類

通常、子宮の筋肉層の中に入り込んで筋肉組織との境界が見られないような、びまん性の型と、結節性といって筋肉層の中に部分的に塊のようにしてできる型があります。超音波の影像では子宮筋腫と間違えられることもよくあります。

子宮腺筋症の診断

超音波検査で診断できることもありますが、子宮筋腫との区別が難しいことでも知られています。また、腺筋症と子宮筋腫が併発することも起こり得ます。この疾患に関して詳しいレントゲン科のクリニックでしたら経腟超音波検査で診断できますが、MRI検査の方が診断は確実です。

子宮腺筋症の治療法

子宮腺筋症の主な治療法については以下の通りです。

外科治療:完璧に治療するには子宮を摘出する方法しかありません。しかし、これから妊娠を考えている場合は不適切です。結節性の腺筋症だけを摘出することは、周りの正常な筋肉組織との境界線が分からないので困難です。

薬物療法:簡単な鎮痛剤や消炎剤で症状が軽減することもあります。避妊ピルや黄体ホルモンも多少の効果はあります。性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)作用薬も効果はありますが、閉経を促し、顔面紅潮や発汗などの更年期症状や、骨粗鬆症を引き起こす危険があるので短期間しか使用できません。

ミレーナ(Mirena):黄体ホルモンを子宮内に放出するシステムで、5年間子宮の中に入れておける子宮内器具です。症状の緩和に役立ち、徐々に効果が現れる治療法です。中には症状が悪化する人もいます。

子宮動脈塞栓術:鼠径部(そけいぶ)の大腿(だいたい)静脈からカテーテルを入れ、子宮動脈に塞栓を促す粒子を注入し、子宮動脈の血行を止める方法です。子宮筋腫の治療法として使われていましたが、子宮腺筋症にも効果があります。また筋腫と腺筋症が併発している場合でも効果的です。外科治療に比べ、全身麻酔の必要がなく、患者への負担も軽いので、経験のある放射線科医で治療を受ければ安全です。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

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