口の中が痛くなる「口腔灼熱症候群」という病気とは?

日豪プレス何でも相談

医療

Q

ここ数カ月間、口の中が痛く、医師から口腔灼熱症候群だと言われました。どのような病気なのでしょうか。(50代女性=主婦)

A

舌、唇、歯茎、のど、口蓋(こうがい)、あるいは口全体が焼けるように感じる疾患で、臨床的な異常や検査上での異常は見つからない症候群です。主な症状は焼けるような痛み、口の渇き、それに味覚の変化です。男性よりも女性、特に閉経後の女性によく起こります。

痛みの特徴

患者さんの50パーセントは痛みが突発的に起こり、原因は見当たらないようです。そして、約30パーセントの患者さんは歯科治療、他の病気、あるいは薬の服用(特に抗生物質)が引き金のようです。一度発症すると、症状は何年も続きます。ほとんどの患者さんは夜間に痛みはなく、朝から1日の時間が経つにつれて徐々に痛みがひどくなっていきます。口腔内の痛みがよく起こる部分は順番に、舌の先3分の2、硬口蓋の先3分の1、下唇の粘膜、そして頬の粘膜です。痛みの度合いは人によって違いますが、中程度からひどい歯痛程度のようです。完治して痛みが止まる前には、絶えずある痛みが時折起こる痛みに変わっていくことが多いそうです。

原因

原因はまだ分かっていませんが、味覚と関連のある脳神経や自律神経の機能障害が関係しているのではないかと考えられています。いずれもはっきりと証明はされていませんが、口腔灼熱症候群に関連があると見られている要素は以下の通りです。

  • 精神疾患:不安症状やうつ症状。このような精神疾患が原因なのか、それとも慢性の痛みがあることによってこのような精神疾患が発生するのか、分かっていません。
  • 糖尿病:口腔灼熱症候群の患者さんには血糖値の高い人がよくいます。
  • 栄養素:ビタミンB1、B2、B6、それに亜鉛が不足していることもよく観察されます。
  • ホルモン:更年期の女性によく見られることからホルモンの変化が大事な要因ではないかと見られています。しかし、このような患者さんにホルモン補充療法をしても口腔灼熱症候群に効果はないようです。
  • 口の乾燥:口腔灼熱症候群の患者さんには口の渇きを訴える人が多くいます。
  • 味覚機能:味覚を感じる脳神経の機能に何らかの変化が起こり、痛みの感度が高くなっているのではないかという仮説もあります。
  • その他:薬品(特に降圧剤)、口内カンジダ、甲状腺機能低下症、舌や歯茎の過剰なブラッシング、酸性の強い飲み物の飲み過ぎなどとの関連もあるかもしれません。

対処法

口内カンジダがある場合は治療が必要です。ビタミンB1、B2、B6や亜鉛などのミネラルが不足している場合は補うようにします。水分をよく摂るように注意したり、冷たい飲料、氷片、ガム(シュガーレス)を噛むことを勧められます。三環系抗うつ薬やLyricaのような神経性の痛みを抑える薬なども使われることがあります。また、たばこ、辛味・酸味の強い食品、アルコール(飲料及びうがい薬に含まれる)などの刺激物を避けることも大切です。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

 幌北学園 blancpa novel-coronavirus nichigowine  kidsphoto

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る