骨粗鬆症と関節炎の違い

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Q: ヒザ、手首、指などの関節が最近痛むようになり、医師に骨粗鬆症ですかと聞いたら、それは関節炎だと言われました。骨粗鬆症と関節炎の違いを教えてください。
(62歳主婦=女性)

A: 骨粗鬆症とは骨塩量(あるいは骨密度)が減少し、骨がもろくなって折れやすくなる状態のことを言います。成長とともに骨塩量は20歳前後から30歳ごろまでのピークに達するまで増え続けます。そして40代まではピークが保たれ、その後、徐々に骨塩量が減っていきます。特に女性の場合は閉経とともに女性ホルモンの分泌が少なくなり、急激に骨塩量が減ります。

骨粗鬆症の場合、骨がもろくなっていて骨折が起こりやすい状態になっているだけですので骨粗鬆症そのものから起こる痛みなどの症状はありません。もし骨折が起きてしまえば痛みも出ます。最も骨折が起きやすいのは脊椎と大腿骨頸部ですが、脊椎の場合、ほとんど痛みがないこともよくあります。身長が年齢とともに低くなって、レントゲンを撮った時に始めて気付くこともあります。

関節炎には骨関節炎(Osteoarthritis)とリューマチ性関節炎(Rheumatoid arthritis)があります。骨関節炎は変形性関節炎とも言い、人口の高齢化とともに増加していく問題の1つです。手と荷重関節(weight-bearing joint、例えばヒザ、股関節、脊椎など)に起こりやすい疾患です。白色人種と比較するとアジア系人種には股関節の骨関節炎の発生率が低く、一方で手とヒザに関しては同等です。

女性対男性の比は4:1です。関節は骨と骨の継ぎ目の部分ですが、骨と骨が直接触れ合わないように軟骨でカバーされ、クッションの役目を果たしています。体重によって負担の大きい関節や指の関節をよく使うような職業の人はこの軟骨の消耗が早く、変形性関節炎が起きやすくなります。

軟骨がなくなり、骨と骨が直接こすれ合っているとそのストレスから微少骨折(micro-fracture)が起こり、炎症反応が出ます。関節炎からくる痛みは炎症細胞から放出される媒介物質によって起きます。

骨粗鬆症も骨関節炎もどちらも高齢者によく起こる疾患ですが、骨粗鬆症の場合、骨折が起こっていない限り痛みは起こりません。もちろん、両疾患が同時に進行していることはよくあります。骨関節炎の場合、痛みだけではなく、下記のような症状も起こっているかもしれません。

 

関節の痛み 最も顕著な症状です。関節を動かしたり体重をかけると痛みます。突然痛みがひどくなって数日から数週間続くこともあります。また、夜間に痛みが誇張されたり、寒かったり湿った気候の時にひどくなることもあります。関節の周りの軟組織に圧痛が感じられます。
関節の変形 関節に水が溜まり、腫れることもあります。関節の屈曲も起こります。手の場合、遠位指節関節(Heberden’s nodes)と近位指節関節(Bouchard’s nodes)の周りに骨片ができ、こりこりとした膨らみが感じられることもあります。
関節可動域 骨関節炎が進み、変形が著しくなるとともに関節の可動域が縮小してきます。また、特にヒザなどは関節を動かした時に捻髪音がでることもあります。
関節の硬直 リューマチ性関節炎ほどに朝の関節の強張りは顕著ではありませんが、しばらく関節を動かさなかった後は硬直があります。

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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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