第15回 男性の悩みを解消! ─後編

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


第15回 男性の悩みを解消! ─後編


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神 経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専 門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を 行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、 体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !
 

前回、尿漏れ、EDなど男性特有の悩みに対して、骨盤底筋を強化することを対策として書かせていただきました。今回は、その運動療法の内容を具体的にご紹介します。

骨盤底筋を効果的にトレーニングするためには、まずその筋肉の位置を正しく把握し、その後、意図した通りに動かす訓練から始めます。肛門を締め、陰茎を持ち上げ、さらに膀胱を上部に持ち上げる運動が必要です。これをすべて感覚のみで正確に行うことは難しく、初めての方はかなり苦戦します。そのため、リアルタイム超音波などを用いて、スクリーンに映る筋肉の収縮を患者さんと一緒に確認しながらトレーニングを行う場合もあります。

骨盤底筋は脊椎の基底に位置し、脊椎を安定させる役目を果たしています。おしっこをする時ほっと息を吐くことが多いと思いますが、息を吐くことで骨盤底筋がリラックスし、膀胱が下がるため排尿が可能になります。逆に息を吸う時は骨盤底筋は膀胱を持ち上げ尿管を閉める働きをしています。同様におならを我慢する時は肛門周辺の骨盤底筋を緊張させます。

以上をふまえて骨盤底筋のトレーニングに使う合図・キュー(感覚)は2つです。「 おしっこを途中でとめる」感覚と、「おならが出るのをとめる」感覚です。その際、いつも通りに呼吸し、おなかや臀部の筋肉をリラックスさせることがとても大切です。それではさっそくトレーニングを始めましょう。この運動はコマ切れの時間に誰にも知られずにとても気軽に行えます。

(1)立っている時、上記のキューを用いて骨盤底筋を思いっきり収縮させる。鏡で観察すると陰茎がおへその方向に睾丸とともに持ち上がることが確認できる。 朝&晩、各10秒間収縮を3〜5回。

(2)脚を開いて座り、骨盤底筋を思いきり収縮させ、肛門を引き上げる。この時、腹部&臀部が硬くならないように注意。朝&晩、各10秒間収縮を3〜5回。

(3)仰向けに寝てヒザを曲げて脚を肩幅に広げ、骨盤底筋を思いきり収縮させる。この時も、腹部&臀部が硬くならないように注意。

(4)歩行時に上記トレーニングの50%の力で骨盤底筋を収縮させ、それを維持した状態で歩く。

(5)排尿をすませたら骨盤底筋を思いきり収縮させ、尿道内の残尿を出し切る。

ある有名なイギリスの研究では70%以上の被験者に改善が認められました。残念ながら30%の被験者には改善が認められなかったわけですが、その要因に生活習慣疾患、循環器疾患、動脈硬化、糖尿病、そして過度のアルコール摂取が挙げられたということです。トレーニングを行うと同時に、日々の生活習慣、運動不足、食生活にも気を付けていきたいものですね。


 
奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
 

シドニー大学理学療法学科卒業 後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダー リングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務 し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治 療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会 公認筋骨格系理学療法士。

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