第28回:糖尿病と身体の痛みの密接な関係

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


第28回:糖尿病と身体の痛みの密接な関係


▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !

 

パーティーの多いシーズンですね。私たちは食べ物や飲み物を消化することでブドウ糖を作り、身体を動かすエネルギーにしています。血液中のブドウ糖の値が血糖値ですが、糖尿病はこの血糖値が高くなり過ぎた状態を言います。


この原因は血糖をコントロールするホルモン「インスリン」にあります。すい臓からのインスリン分泌が足りなくなったり働きが弱くなったりして血糖の調整ができなくなると、血糖値が高くなり過ぎた状態が続き、糖尿病と診断されます。糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があります。「1型糖尿病」は、すい臓の細胞が自己免疫異常によってインスリンを分泌できなくなる病気です。「2型糖尿病」は、過食、運動不足、肥満、ストレスなどが誘因となってインスリンの分泌が少なくなったり、効き目が低下する病気です。糖尿病患者の約9割が生活習慣病である「2型糖尿病」です。

血液は身体の隅々まで流れているため、血糖値が高い状態が続くと、末梢神経、筋肉、関節、腱、靭帯と言った身体の軟組織にまで悪影響を及ぼすことが分かってきました。その中で最も多いのは糖尿病性神経障害です。2010年の日本で行われた研究では今まで分からなかったこの痛みのメカニズムが解明され大きな話題になりました。血糖値の上昇に伴い、細胞が酸欠状態になり、痛みの感覚が増大するのです。

また、神経痛だけでなく、上半身ではよく使う肩関節や腕や手の腱、下半身では体重を支えているアキレス腱などが慢性的な炎症を起こします。その結果、いろいろな身体の痛みを覚えることになります。こういった痛みの発症率は糖尿病を患っている場合、そうでない場合に比べ2〜150倍にもなります(症状による)。来院される方の中でよく見かけるのは、フローズン・ショルダー(四十肩、五十肩)、極度の硬化性関節痛、正中神経症候群(手のひらの痺れ、痛み)、腱膜炎などです。

糖尿病を患っていらっしゃる人の場合、治癒力も低下するため治療には通常の1.5〜2倍の時間が必要になります。

これから、年末にかけてクリスマス・パーティー、忘年会、新年会なども多いことでしょう。つい食べ過ぎてしまったり、運動不足に陥りやすい時期ですね。しっかりと体調管理を行い、運動や食生活でも日ごろの生活リズムを崩さないように気を付けましょう。


 

奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。

 

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