第6回 冷え性

 

第6回 冷え性

鍼灸(しんきゅう)、按摩(あんま)、指圧をはじめとする東洋医療は、少なくとも奈良時代には医療制度として確立されていたようです。大宝律令(西暦701年)中の医疾令に鍼博士、按摩博士という記述があるからです。それからすると、1300年以上もの長い間、廃れることなく続いてきたわけです。これはいったいどういった理由からなのでしょうか。

歴史的幸運に恵まれたとの見方もできますが、私はやはり「効く」という事実によって人々に支持されてきたことが非常に大きいと考えています。古い医学ゆえに分かりにくい部分もありますが、「どうして効くのだろう?」と心に留めながら読んでいただければ理解も深まるのでは、と思っています。

現代医療では冷え性という病名は付かず、自律神経失調症あるいは心身症の中の症状として手足腰の冷えをとらえます。一説には7割程度の女性は、冷えに悩んでいると言われており、毛細血管運動を司る自律神経系や内分泌(ホルモン)系の機能失調を原因と考えることが多いようです。

また、不定愁訴をメンタルな側面から診断することも近年の流行ではありますが、もともと東洋医学では症状を経絡(けいらく)や臓腑の異常としてとらえます。経絡には気が流れ、五臓には神気が宿る、という一種の心身医学なので、身体の治療をすることによって心のケアにも役立つのです。

冷えには、腎肝心胃三焦(さんしょう)の臓腑が特に深く関係しますので、その経脈を調整するに適当な経穴を選択します。

まず足三里(あしさんり)、三陰交(さんいんこう)、太衝(たいしょう)を入念に押圧して足腰への気血の循環を促します。関元(かんげん)の付近は、気血の溜滞しやすい所です。付近のしこりも探って柔らかくしてゆきましょう。メンタル・ストレスは胃に来やすいので、気になる人は中脘(ちゅうかん)、水分(すいぶん)を加えます。内関(ないかん)、外関(がいかん)は前腕の裏表で、手腕と上半身の冷えに用います。

食事の栄養バランスも重要です。砂糖や油脂、アルコール、加工食品の過剰摂取は栄養欠陥を生じ、神経内分泌系の異常を起こしやすくなります。

足三里:膝を立て、脛骨の前面外側を指で押し上げると指が止まる所。強圧すれば響く
三陰交:内くるぶしの上際から3横指。骨の後際
太衝:足の第1、2指間、動脈の拍動を感ずる所
関元:へその下4横指
中脘:へそと胸骨下端の中間、へその上4横指
水分:へその上1横指
外関:腕関節背面中央より上方3横指
内関:腕関節横紋前面より3横指

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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