第11回 更年期障害

 

第11回 更年期障害

更年期とは、一般的に女性の生殖能力が失われてゆく時期、45〜55歳の間をいいます。この期間、卵巣機能が徐々に低下することによって、エストロゲンというホルモンの分泌量減少が起こります。エストロゲンの作用には生理、妊娠のコントロールのほか、血管拡張作用、コレステロールや自律神経安定化、骨の代謝維持など多くの作用があります。そのため女性ホルモンの減少は、甲状腺機能低下や自律神経系失調を引き起こし、いわゆる更年期障害の症状を起こします。

近年、男性にも類似の症状が加齢とともに起こることが知られてきました。これは、男性ホルモンのテストステロンの減少によるもので、45〜65歳までの男性に起こる男性更年期障害として知られています。

症状としては、女性には生理不順、不眠、のぼせ・ほてり、イライラと不安、頭痛、異常発汗、動悸などから始まり、手足の痺れ、頻尿と失禁、肩こりと腰痛、皮膚の乾燥、シミとしわ、膀胱炎などに進行していきます。

男性の場合、ホルモンの減少が緩やかなため、はっきりしない場合もあります。まず日常的に強い疲労感を感じ、睡眠障害、男性機能の低下、うつや不安、のぼせ・ほてり、異常発汗、動悸などが多いとされます。

東洋医学では、経閉、月閉、血枯、月経閉などの言葉が古くから使われており、更年期障害を想像させる記述を見ることができます。症状としても、厥逆(読み方:けつぎゃく)(ひえ・のぼせ)、血の道、あるいは神経症的なもので心煩、驚悲、鬱証(うつ)、心身症的なもので不能食、悪心、眩暈、血暈(読み方:けつうん)などが挙げられます。

臓腑経絡説(※)からみれば更年期障害は、腎、肝、脾、心、任脈の病変と考えられます。そこで、湧泉(ゆうせん)、地機(ちき)、中封(ちゅうほう)を入念に押圧することで、冷えのぼせからくる身体の不調感を緩和します。そして、関元(かんげん)、膻中(だんちゅう)、期門(きもん)で臓器の気の過不足を調整するように緩やかに押圧します。冷え性の項と対応する部分もありますので、参考にしてください。

中封:足関節の前方内側。内踝の前足関節を上方に曲げ陥凹する所
地機:膝関節中央から5横指下方。脛骨の後縁
湧泉:足底部中央よりやや前方、足指を屈すると陥凹する所
関元:へその下4横指
膻中:仰臥して左右の乳頭の中間、胸骨部正中の陥凹
期門:乳腺よりやや内側に寄った肋骨弓下部の凹み

※東洋医学上考えられている不可視の通路、経脈と絡脈をいう。その中を気血が循環し、人体を営養する。経穴(ツボ)は経脈上に浮かぶ島のようなもの。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

 

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