オーストラリアの幼稚園ではどんなことをしているのでしょうか。

日本とは異なる教育システムに戸惑うママ&パパの疑問・質問に専門家がズバリお答えします。

 

オーストラリアの幼稚園ではどんなことをしているのでしょうか。

 

Q: プレスクールに通う子どもがいます。時々、外から園の様子を覗くのですが、いつも遊んでばかりいるようです。行事も少ないですし、オーストラリアの幼稚園ではどんなことをしているのでしょうか。

A: 日本の幼稚園には、ひな祭りやこどもの日などの季節の行事や遠足、お泊り会など、毎月のように催しものがあります。また持って帰ってくる工作なども完成された素晴らしいものが多いので、オーストラリアの幼稚園に行き始めたころは物足りなく感じる人が多いのではないでしょうか。

NSW州の幼児教育機関では、2004年から導入されたエマージェント・カリキュラムに基づいて保育・教育が行われています。このカリキュラムでは、子どもたちの興味がどこにあるかということに焦点を当て、子ども主体の活動を通して、子どもたちをバックアップします。これは、北イタリアのレッジョ・エミリア市の幼児教育機関のアプローチをモデルにしたもので、1980年代から急速に全世界へ広まりました。日本でも1990年代から「こどもの百のことば」という同市の子どもたちの作品展をきっかけに認知されるようになりました。

具体的には、教師たちが子どもたちの会話や活動の記録を写真とともに残していきます。皆さんもお子さんの通うプレスクールやデイケアで、写真付きの記録を見たことがあるのではないでしょうか。それらを基に、次の段階のアクティビティーの設定や教材を用意します。一見、自由に遊んでいるようには見えますが、教師たちはさまざまな角度から子どもたちに働きかけ、言葉がけをしています。

確かにNSW州のプレスクールやデイケアでは行事が少ないですね。日本に比べると季節の行事などが圧倒的に少ないので仕方がありません。また、遠足などもめったにありませんが、これは日本との制度の違いがあるからなのです。NSW州では園外活動をする場合、3歳以上においては、子ども5人につき大人が1人付き添うことが義務付けられています。このため保護者の協力が必要になり、特にデイケアなどでは保護者が仕事をしているため実施が難しいのです。

工作に関しては、オーストラリアではきれいに仕上げるよりその過程を大切にしているのではないかと思います。例えば、粘土を小麦粉から先生と一緒に作ったり、貼り絵では貼る材料を工夫し、その感触や貼り具合などを楽しんだりするようにしています。絵画もブラシの太さやスポンジ、綿棒などや素材、絵の具の濃度などを変えたり、グリッターを混ぜる、色を制限(寒色系のみ、暖色系のみなど)したりすることで工夫します。絵が嫌いな子どもが、道具1つ変えただけで素晴らしい表現をすることもあります。

このトピックについては、次回で引き続きお話ししたいと思います。


内野尚子(うちのなおこ)

プロフィル◎6年半の香港駐在を経て、96年よりシドニーに在住。11年間ローカルの幼児教育機関に教師として勤務し、その間Authorised Super visorも務める。現在は、児童教室「Universal KIDS(旧子どもクラブ)」を運営するかたわら、NPO日豪教育サポート・グループでの活動も行っている。元日本語補習校代表兼教師。

 

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