子どもの言葉を伸ばすー日常の取り組み

継承日本語教育を考えよう
JCS日本語学校での授業風景

Heritage Language 継承日本語教育を考えよう

子どもの言葉を伸ばすー日常の取り組み



 ここ数年、継承日本語教育の研究がアメリカ、タイ、そして日本を中心にかなり盛んに行われるようになり、実に多くの研究発表が見られるようになりました。その中で、2009年3月に在ニューヨーク大使から長年に渡る継承日本語教育の業績により在外公館長表彰を受けられたカルダー淑子さんの研究発表「海外で子どもの言葉を伸ばす」に私たちが日常取り組める方法が紹介されていましたので、いくつかかいつまんで引用してみます。
『アメリカに住む日本人家庭の子どもの言葉の伸びに関わる要因を調査した結果、在外年数と渡航年齢という履歴的要因が大きな比重を占めるものの、その他の要因の役割も大きく、特に兄弟姉妹の間で話す言葉が日本語であることや日本語で付き合う友人が多いこと、日本語での読書量なども語彙力を伸ばす大きな要因になっていることが確認されました。また、心理的な要因として、日本や日本文化に対する本人の親近感やアイデンティティーも語彙力と相関する大切な項目になっています。日本語を保持するためには家庭での努力が大切ということなのですが、特に親との会話ばかりでなく兄弟姉妹の会話も日本語で通させる努力をすること、日本語の本や雑誌を子どもの手に届くところにそろえ、日本語を常時吸収する環境作りをする中で、日本語や日本文化に繋がるアイデンティティーを時間をかけて養っていくことなどが大切です。
 海外で日本語を学ぶ子どもの語彙の習得は、国内にいる場合と違い、かなり意識的に言語環境を整えなければなりません。たとえば、幼稚園児と折り紙をする場合、「ここをこうやって、それからこうやって、それでこうするのよ」などと言いながら折り方や切り方を教えることが多いのですが、「親指と人差し指を使って、この線に沿って4つに折って、それを開いてこの角を丸く切ると、ほらカエルの形になるでしょう」と言った方が言葉の数はずっと多くなります。また子どもと一緒にお料理をしながら、「水を鍋の7分目ぐらいまで入れて、中火でゆっくり煮込むと肉の味が沁みてコクが出るの」などと言うのも子どもの表現力を伸ばすことに繋がります。「むしる」「ちぎる」「水にさらす」「注ぐ」「浸す」など、ややニュアンスのある言葉を意識的に使っていくのも良い方法です。「あのスーパー、いつ終わるの?」などと聞かれたら「あの店、平日は8時で閉店だけど、今日は祭日だから9時まで開いているようね」とか、「あのガラージ、高いよ」といった英語交じりの日本語には「駐車料金は高めだけど、駅に近くて便利だから」と対応するなど、子どもの知的な発達に合わせて少しずつ日常使う言葉のグレードアップを心がけると年齢相応のレベルの語彙が増えていくと思います』
 日常生活の中に多くの日本語の種が潜んでいるようです。
参考文献:「海外で子どもの言葉を伸ばす」カルダー淑子


継承日本語教育を考えよう

JCS教育支援委員会
シドニー日本クラブ(JCS)会長、担当理事、日本語学校代表者により構成され、JCS日本語学校3校の運営支援、継承日本語教育の研究・普及に努めている。日本語スピーチ・コンテストや「継承日本語」に関するワークショップを開催
シーハン宏子(しーはんひろこ)
プロフィル◎文部省の派遣でシドニー日本人学校教師を3年間経験。その後、地元の小学校、ハイスクールで日本語指導。現在、JCS日本語学校NB校で継承語としての日本語を指導。JCS教育理事。IHシドニー日本人コンサルタント

 幌北学園 blancpa novel-coronavirus nichigowine  kidsphoto

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る