家庭で日本語を使っていれば、子どもは自然に日本語を身に着ける !?

Let's Learn Japanese

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土曜校カリスマ先生の
日本語のツボ教えます

実際の教育現場から、日本語を学ぶコツを伝授
今回より6回にわたって、オーストラリアで子どもに日本語を学習させる上でのアドバイスや留意事項などを、私の経験を踏まえつつ綴っていこうと思います。第1回は「オーストラリアで日本語を学ぶ・学ばせる上での心構え」についてです。
家庭で日本語を使っていれば、子どもは自然に日本語を身に着ける !?


「聞く」「話す」の話し言葉については概ね正解と言えますが、書き言葉は残念ながら自然には身に着きません。日本語を聞いて理解できる・話せるからといって、それが読める・書ける能力と必ずしも結びつくとは限らないのです。書き言葉については次回以降に述べることにして、今回は話し言葉についてお話しましょう。
まず「聞く」能力。常に子どもに日本語で話しかけていれば、相手の言っていることはほぼ理解できるようになります。親が日本語話者であれば大きな問題はありません。が、「話す」能力となると話は別。これは個人差が大きく、「子どもが何歳になってもコミュニケーションはすべて日本語」という方針が一貫している家庭がある一方で、「子どもが保育園や学校に通い始めた途端、日本語で話しかけても答えが全部英語になった」という経験をお持ちの保護者の方も少なくないはずです。これを、「こちらの言っていることが理解できているからいいや」「その気になれば日本語で言えるだろう」「日本語をあまり強制しすぎると却って逆効果かな」と放置しておくと、極端な場合、相手の言っていることは理解できても、言いたいことが日本語で言えないという、非常にアンバランスな日本語能力を身に着けさせてしまう恐れがあります。
私自身、過去にそうした生徒を受け持ったことが何度かありました。そうなってしまうと彼らにとって日本語はもはや外国語。日本語を使う環境を常に家庭に整えておき、子どもたちには日本や日本語が自分たちのアイデンティティーの一部であるという意識を育んでいってもらいたいですね。また、発話が日本語でも、英語の影響と思われる表現を耳にすることがよくあります。「サッカー遊ぼう」などはその好例です。その場合は速やかに訂正してあげることをお忘れなく。
日本に住んでいる子どもと違い、オーストラリアに住んでいる子どもは、全日制の日本人学校に通学する場合を除き、日本語に触れる機会が家庭や補習校などごく限られた場所しかありません。その中でも比較的時間が多いのは、やはり家庭です。「家庭は第二の教室」という言い方をすることがありますが、上記のような理由から、オーストラリアで日本語を学ぶ子どもたちにとって、家庭はむしろ第一の教室であると言っても過言ではないでしょう。
つまり、子どもに日本語を身に着けさせるためには、家庭内で日本語環境を意識的に作り出す必要があります。国際結婚などの事情で英語をはじめとする日本語以外の言語が「公用語」になっている家庭は、より一層注意して日本語環境を構築・維持することが大切です。また、子どもが教育機関に通い始める時期は、日本語能力の維持・向上という意味で大きな分岐点となり得るということを改めて付け加えておきます。
次回は、家庭内における日本語環境の構築法についてお届けします。


阿部圭志(あべ けいし)
プロフィル◎1997年よりシドニーで日本語教育に従事。カトリック系小学校、ニュー・サウス・ウェールズ大学、日本語たんけんセンター、インターナショナル・グラマースクールを経て、現在バンクスタウン・グラマースクール教職員。同年よりシドニー日本語土曜学校教職員を務める。 

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