日豪プレス・メディア体験プログラム2019近畿大学生編③

日豪プレス・メディア体験プログラム2019
近畿大学生がシドニーで記者体験

9月末から11月上旬の6週間にわたって、近畿大学の学生6人が日豪プレスの「メディア体験プログラム」に参加した。同プログラムは学生たちに実際に編集部の一員として取材活動を行ってもらい、それを記事に仕上げるところまで指導するというもので、将来のキャリアに向けて貴重な経験を積めるということで好評を博している。今回、学生たちは日本政府観光局シドニー事務所、国際交流基金シドニー事務所、NSW大学の3カ所を取材。本特集では学生たちが完成させた記事をプログラムの成果物として掲載していく。

ニュー・サウス・ウェールズ大学

日本語専攻クラスの授業に潜入

オーストラリアの中でも特に優れた8つの名門大学の総称「オーストラリア8大学」の創立メンバーであるニュー・サウス・ウェールズ大学には、日本語専攻クラスがある。同クラスは毎年、自分たちで設定した日本文化に関する研究成果を発表する「日本研究発表会」を行っており、今年は11月22日に行われた。今回、我々は同クラスの中間報告会に潜入。「日本の学校給食」について研究した「もぐもぐ組」と「日豪の健康意識」について研究した「健康組」に、給食や健康についての海外の学生ならではの声を聞かせて頂いた。(取材・文:石川さくら、草刈郁美、久保美友季、髙松優里、水本隆、宮城究)

「もぐもぐ組」にインタビュー

――なぜ「給食」をテーマに設定したのですか。

最初大まかに「食」についてのプレゼン発表をしようと考えていたのですが、細かなテーマについては決めかねていました。そこで、先生のところへ相談に行き、考えていく中で日本の大学の「食」やオーストラリアの食事学、食育などいくつかのキーワードが出てきました。その中で給食が一番おもしろそうだと思ったのでプレゼン発表のテーマにしました。

――給食のどのような点を面白いと思ったのですか。

給食の係の人がクラスメイトに配膳し、皆で机をくっつけて同じご飯を食べるという点です。給食のおばさんが行うのではなく、生徒たち自身で給食の準備をすることがすばらしいと思いました。私の出身国である中国ではクラスメイトみんなで一緒に行うのは掃除くらいしかないですね。しかも毎日は行いません(笑)。

――給食についてどのような方法で調べたのですか。


英語、中国語、日本語の文献を集めて調べました。大変だったことは、英語を日本語に翻訳することです。そんな中、ジャパンファウンデーションで働いていらっしゃる方に教えてもらった文献の集め方はとても役に立ちました。私たちの師匠のような存在だと思いました。約3週間前から文献を読み進めてきて、現在は35件ほど集まっています。11月22日が本番の発表会で、それまでにパワーポイントでスライドを作成し、スクリプト作成や文献の理解、発音の練習とやらなければならないことがたくさんあって大変です。

――給食を食べたことありますか。

日本の小学校で食べたことがあります。その時の給食のメイン料理は魚で作ったハンバーグでした。肉で作ったハンバーグだと言われても信じられるくらい食べた感じが似ていて、おいしかったです。

――日本の給食を調べていく中で、どんな給食を食べみたいと思いましたか。

給食を食べられるなら何でもいいです。とりあえず給食を食べたいです。

――日本語の発音はどのように練習していますか。

「スズキクン」というウェブサイトを使っています。これを使うことで、正しいイントネーションも練習できるのでとても助かっています。

――日本語を学びたいと思ったきっかけは何ですか。

中間発表を行う「もぐもぐ組」
中間発表を行う「もぐもぐ組」

小さい頃から言語学者になりたいと思っていました。そこで母国語である中国語、そして英語を学びました。そして、いつかは日本語の勉強も始めたいと思っていたので、今勉強しています。

――日本語を学ぶ上で一番大変なことは何ですか。

発音ですね。単語と文法とイントネーション、特に「た」と「だ」の違いが全然わからないです。また「か」と「が」の違いも難しいですね。音の違いが全然理解できなくて苦労しています。

「健康組」にインタビュー

――なぜ「健康」をテーマにしようと思ったのですか。

きっかけは、私たちのグループ全員がたまたまジムに通っていて、体を鍛えることが好きだったということです。そして日本人とオーストラリア人の理想とする体型に差がある点に興味を持ち、ダイエット方法の違いに着目しようと思いました。発表では両国の違いが大きく、体型へのこだわりが強いと思われる「20代女性」に絞って研究を進めていこうと思っています。

――発表内容はどのようなものになる予定ですか。

私たちのグループでは、「理想の体型の差」を取り上げます。オーストラリアでは健康的な体型が理想とされますが、日本ではスレンダーで華奢な体型が理想とされています。その差に焦点を当て、その根底にある文化の違いなどにも注目したいと思っています。まだ準備段階なので今日の中間発表は未完成でしたが、1日1時間程度のミーティングを何度も重ねて完成に近付けています。発表当日を楽しみにしていてください。

――発表の準備をする上で大変なことは何ですか。

オーストラリアと日本のそれぞれのデータを集める必要があったため、英語文献だけでなく日本語文献も参考にしなくてはならないのが大変でした。また当日は、発表の後に質問コーナーがあります。その時には、その場で質問に答える必要があり、用意した文章を読めるわけではないのでとても不安です。しかも、今年は例年に比べて準備期間が1週間短いので、これからさらに頑張らなければならないです。

――日本語を勉強しようと思ったきっかけは何ですか。

漫画やアイドル、日本に旅行や留学に行って興味を持ったなど、きっかけはさまざまですね。高校や大学から日本語を勉強し始めた人がほとんどで、将来の仕事につなげるために勉強している人や、日本で働きながら勉強するJETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Program)に応募しようと考えている人もいます。そのような人たちは、日本語能力検定で一定のスコアを取ることを目標にして勉強しています。

――日本に対してどのようなイメージを持っていますか。

カラオケやマンガなど娯楽がたくさんあって楽しいイメージです。自然も奇麗ですし、歴史的な建物もたくさんあり、面白い所だと思います。ですが、労働時間が長いと聞いたので、日本で働くのは大変そうです。だから、50年後くらいに日本の田舎でのんびり暮らしたいですね。

――日本語は難しいですか。

中間発表を行う「健康組」
中間発表を行う「健康組」

敬語など、日本独自のものが難しいです。話そうとした時に、すぐに言葉が出てこないので、まだまだ練習が必要です。でも大好きなアニメを日本語字幕で観るなど楽しみながら勉強しています。

――普段の授業の様子を教えてください。

このクラスは研究成果の発表を最終目標にしているので、書き取りやリスニングなどの基本的な練習はしていません。授業では、アンケートの制作や文献の読み込み、調査など発表に向けての準備が多いです。もう少しレベルの低いクラスでは基本から日本語を学び、自分に合ったレベルの授業を受けることができるので、それも良いと思います。

日本研究発表会とは?

ニュー・サウス・ウェールズ大学日本研究課程は、毎年、日本研究専攻の最終学年コースの学生による公開日本研究発表会を開催している。同発表会は、ニュー・サウス・ウェールズ大学日本研究専攻の学生らによって2011年度より行われており、今年で10回目の開催となる。今年の学生の研究発表テーマは「日本語と英語のユーチューバー」「日本の学校給食」「日本の食文化」「日豪の健康意識」で、それらを日本語で発表する。今年は11月22日に発表された(記事は「コミュニティー・ニュース」参照)。

取材を終えて

今回ニュー・サウス・ウェールズ大学を訪れ、現地の学生にインタビューしたことにより、日本と海外の違いを改めて感じることができました。日本に興味・関心を持ち、それを将来、仕事や自分の生活の中に生かしたいと多くの外国人生徒が思ってくれているのはとてもうれしいことだと思いました。
 また、日本のアニメや音楽、食べ物や観光名所が多くの外国人の方から賞賛され、日本の良さがますます広まっていることに誇りを感じました。私たち日本人にとって、例えば「給食」など当たり前の存在のものが今回の取材を通じて日本独自の文化であることに気付かされました。
“日本の文化とは何か”を改めて考えさせられる良い機会になったと思います。発表中に難しい発音があって間違っても、それを恥ずかしがる様子もなく、つたない日本語で一生懸命伝えようとする彼らを見て、失敗を恐れがちな日本人の私たちは見習わなければいけないなと感じました。

ニューサウス・サウス・ウェールズ大学の学生にインタビューする近畿大学生
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先生にアドバイスをもらう学生たち
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