GCマラソン、日本人が男女W優勝!

男女ともに日本人が優勝の大快挙!
 


ゴールドコースト・エアポート・マラソン2013


 毎年、日本から多くのランナーがやって来るゴールドコースト・エアポート・マラソン。7月7日に行われた今年は日本を代表する最強の市民ランナー、川内優輝選手が、男子で見事優勝し、伊藤太賀選手は2位で入賞。また、女子も赤羽有紀子選手が優勝を果たすという、マラソン大国日本の底力を見せつけるレース結果となった

 


川内優輝選手が優勝を決めた瞬間。ゴール直後は大会新記録が出たと騒然としたが、直後に審査の結果タイムが修正され、大会記録タイとなった
 

「ナンバー・ワン」のポーズを取る優勝した赤羽選手と川内選手
 

川内選手の活躍は、翌日の地元紙ゴールドコースト・ブレティンの1面を飾った
 

赤羽選手のゴールの瞬間。女子の大会記録を更新した(Photo:Aiko Yamashita)

日本からの参加者も多く、毎年大きな盛り上がりを見せるゴールドコースト・エアポート・マラソン。今大会から国際陸上競技連盟(IAAF)の銅レベルへと格上げされ、オーストラリア初のトップ・レベルの国際大会として認定されたレースとなった。

今年は各競技で合計2万7,638人の参加者が走り、フルマラソンでは5,432人のランナーがタイムを競い合った。中でも目覚ましかったのが、日本人マラソン選手たちの活躍。マラソン競技における日本選手の強さを改めて世界に示したレースとなった。

昨年の同大会で4位、続くシドニー・マラソンでも優勝した日本を代表する市民ランナー、川内優輝選手が、今年は2時間10分01秒で優勝。しかも、大会記録タイという見事なタイムを叩き出した。2位には伊藤大賀選手(スズキ)が入賞。そして、女子では大会新記録となる2時間27分17秒というタイムで赤羽有紀子選手(ホクレン)が優勝を飾った。

 
川内優輝選手が大会記録タイで優勝

川内選手がゴールした瞬間には、日本人はもちろん、地元オーストラリア人、そして世界中からやって来た観客たちが一斉に大歓声を上げて川内選手の栄誉を称えた。まだ息をはずませながらも、川内選手はゴール直後に優勝の喜びを語った。「すごく嬉しいです。ただ、サブ・テン(2時間10分を切ること)まであと1秒だったので、それが本当にもったいなかったです。

30キロ地点でエチオピアのランナーが前に出た時に“危ないな”と思ったんですが“こんなところで負けてたまるか”と思い、なんとか追いついていけました。

サブ10を切ることはできませんでしたが、これでシドニー、ゴールドコーストと豪州2大会の優勝ができ、8月の世界陸上へももちろんですが、今後のメルボルン大会へのはずみがついたかなと思います。今日の走りは、自分でも90点は与えたいです」

優勝だけでなく、大会記録タイという素晴らしいタイムを叩き出した川内選手。走りながら、やはりタイムが気になっていたのだろうか。「30キロ地点までペース・メーカーの方がとても良いペースを作ってくださっていたので、そのおかげです。でも、コース・レコードよりも、強豪のアフリカ選手たちでなくても勝てるのだということを証明したいと強く思いました。エチオピアの選手が前に出た時に、ここで負けてはいけないと。

もちろん日本のマラソン界をもっと強くしていきたいという気持ちはありますが、オーストラリアにも過去にロバート・ド・キャステラさんなど強い選手がたくさんいらっしゃいました。ぜひ来年以降は、オーストラリアの若いランナーとも勝負していきたいと思っています」

最後に今後の目標を語ってくれた。「今回、伊藤選手も2位で入賞し、日本人でワン・ツーを飾ることができたのはとても嬉しいです。ゴールドコースト・マラソンはとてもフラットなコースで、素晴らしい応援があります。良い記録が出るコースだと思います。来年はサブ・テンを切るために、またやって来たいと思います。

次は、8月に世界陸上を走ります。周囲の人に『世界陸上が控えているのだから、今回のレースは出ない方がいい』と言われたりもしましたが、こうやってこの大会に出たことで、とても自信が着きました。これは、きっと来月のレースに生きてくると思っています。

これからはケガもできませんし、体調不良などにも気を付けて残り1カ月をしっかりと自分自身のペースで調整して、自信を持ってスタート・ラインに立ちたいと思っています。これからも頑張ります。ありがとうございました」

マラソン当日の夜の便で日本へ帰り、翌日の朝に到着したらその日の昼から埼玉県の定時制高校職員という仕事に戻る予定だと言う川内選手。実業団主導のマラソン界に一石を投じる「公務員ランナー」として、今後もその活躍に期待したい。

 


ママさんランナーとして人気を博す、赤羽選手。「子どもは学校があるので、日本でおばあちゃんと一緒にお留守番してくれています」

2位で入賞した伊藤大賀選手。「2年前にも走っていたので、大会の雰囲気がつかめていました」

試合前に「今回は楽しむつもりで参加します」とコメントしていた高橋健介選手も、12位と健闘した

年齢別世界記録を更新し続ける市民ランナー、保坂好久さん

唯一の日本人として車イスのマラソンに参加し、見事5位となった安野祐平(ゆうへい)さん

 
女子大会新記録で優勝、赤羽選手

川内選手がゴールして間もなく、赤羽有紀子選手が女子の大会新記録を更新して優勝した。「最後の折り返し地点から向かい風が強くて、少しタイムが落ちてしまいましたが、それ以外の流れとしては、とても良かったです。タイムも思っていた以上に良かったので、自分でも納得できるレースでした」


(左から)フルマラソンを好タイムでゴールしたアシックス・ランニング・クラブ・コーチの島田佳久さんと池田美穂さんの2人、木村
浩美さん、鈴木謙吾さん

 

応援にかけつけた谷川真理選手。1992年のゴールドコースト・マラソンでは女子優勝を果たした

ママさんランナーとして活躍する赤羽選手だが、4月のロンドン・マラソンでは3位に入賞したものの、タイムが足りずに8月の世界陸上の代表を逃していた。「ロンドンの後で、今回は練習の一環というつもりで出たのですが、1人ではこういう速いペースにはならないので、そういう意味では良い練習というか、良いレースになりました。今後は秋の海外レースを目標に自己ベストを更新することを目指して頑張ります。オーストラリアは走っていても非常に気持ちの良い所ですね。大会の雰囲気も良かったです」

一方、総合2位に入賞した男子の伊藤大賀選手は、入賞に喜びつつも、悔しさの残る顔をのぞかせていた。「2位は嬉しいですが、やはり優勝を狙っていましたので…。一昨年もゴールドコースト・マラソンで走ったのですが、4位だったので、それより上の順位は狙いたいなと思っていました。今回はずっとトップ・グループで川内選手とともに走っていましたが、30キロを過ぎた地点でエチオピアの選手が抜け出たので、川内くんがそれを追いかけて前に出ました。

2位に出たのは、残り3キロくらいでした。前にいるエチオピアの選手のペースが落ちてきているなと思ったので、日本人らしく粘りを見せて、頑張りました」

川内選手のことを「川内くん」と呼ぶ伊藤選手は、なんと川内選手と同じ年だという。「昨日から川内くんと“日本人で1&2位を取ろう”という話はしていたんです。川内くんは大学生のころからよく同じ大会に出ていて、昔からいつも彼に勝ちたいと思っていました。今日はこの後、監督とチームメイトの選手たちとで夕食を食べながらビールを飲みます!」

 


(左から)表彰台に上がる2位の伊藤選手、1位の川内選手、3位のティウェルディ・エスティファノス・ヒドゥル選手(エチオピア)
 

ゴール後のクール・ダウンのためにビーチを走る川内選手と伊藤選手(Photo: Aiko Yamashita)

今年も60〜64歳の部優勝の市民ランナー

昨年も60〜64歳の部で優勝し、今年も同年代別部門を見事優勝した日本の市民ランナーがいる。保坂好久(よしひさ)さんは、59歳、60歳、61歳、63歳でのマラソン世界記録保持者でもあり、今回も64歳の世界記録を目指して挑戦した。

今回、残念ながら世界記録を破ることはできなかったが、2時間46分17秒で60~64歳の部優勝、総合でも53位という結果でゴールした。「既に4つの年代別世界記録を持っているけど、一番たくさん持っている人は9つも持っています。今度はその人に会って、話を聞いて勉強してきたい。今回はタイムがかなり良くて、昨年の自分の記録を超えることができたのが嬉しい」

幼いころから喘息持ちで痩せていたが、治療のために走り始めたところどんどんタイムが伸び、体力もついていったという保坂さん。現在は企業の代表取締役という責任ある仕事を務めながら、こつこつとマラソンの練習も続けてきた。「ずっと走ってきた人生だけど、飽きることなんてないね。マラソンは毎回、試合ごとに違うから。毎日練習して、試合で結果が出るというのがマラソンの魅力。記録を出してほかの選手たちに勝つと、爽快感があるし。

日本へ帰ったらやっぱり家族に会って、孫に会うのが楽しみ。だけど、家族は世界記録を出しても“スゴイね”なんて言ってくれないんだよ。遅くまで練習して帰ってくると女房にご飯が片付かないって怒られちゃうくらいでさ(笑)。でも、外でやっぱり俺の話になると嬉しいみたいだけどね。

まだ家族にお土産も何も買ってないけど、2人の孫には何か買って帰りたいな」

それぞれのランナーが思い思いの目標を掲げて走り抜いたゴールドコースト・エアポート・マラソン。各選手たちのこれからの活躍に心から健闘を祈りたい。

 

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