オーストラリアの教育機関 虎の巻

 オーストラリアの教育機関 虎の巻

オーストラリアは世界で3番目に人気の留学先として支持され、幅広い年齢層の人が学習に取り組んでいる。多文化社会、教育・生活水準、費用などの点で高く評価され、世界学生都市ランキングでも国内5都市がトップ30に選ばれている。
 オーストラリアでは現在、国をあげて教育水準の向上・維持や、留学生、生涯学習のサポートに力を入れている。
 他国とは異なる教育制度の特長には「Australian Qualification Framework(AQF)」がまず挙げられるだろう。これは大学や職業教育訓練校、中等教育などを対象に、資格や学位を1つの枠組みに統一するという政府が制定したシステムだ。そのため「サーティフィケート」「ディプロマ」などの資格の査定や認定において、ガイドラインや基準が全国的に定められ、あらゆる教育機関の間でスムーズに進学・編入できるようになっている。国籍や年齢は関係なく、資格を持つものにさらに学ぶ機会が与えられるので、この国の生涯学習の促進にもつながっている。また、留学生受け入れに関する法律・制度が整っていることも特筆すべき点だろう。

 大学・大学院

オーストラリアには、現地で創立された大学39校、海外の大学2校、私立の専門大学1校の合計42校があり、ほかにも多くの教育機関で学士、修士課程などの高等教育コースが提供されている。
 世界大学ランキングでは、オーストラリアの大学7校がトップ100にランクインし、特に人文学、医療、工学、生命科学、自然科学、社会科学などの分野で良い成績を残している。オーストラリアで学んだ約250万人の卒業生が世界を舞台に活躍し、そのうち15人がノーベル賞を受賞した。
 取得できる学位には主に学士、修士、博士号があり、そのほかにもさまざまな資格が取得可能(表1)。また、「人文科学と法律(Arts & Law)」のように、2つの分野においての学士号を取得する二重学位(double degree)または混合学位(combined degree)も選択できる。学校によっては、異なる主専攻を2つ取ることができるダブル・メジャー(double major)のシステムを採用しているところも。興味がある分野をフレキシブルに組み合わせて勉強できるのだ。
 入学時期は基本的に2月と7月で、2学期制(表2)。コースによっては年に1回しか入学を受け付けていないものや、年に数回受け付けているものもある。学費においては、年々上昇傾向にあるが、アメリカやカナダなどに比べれば比較的割安だ(表3)。

 
<表1>学位の種類と履修期間

高等教育機関 学位名 期間 内容
TAFE
カレッジ
専門学校
一部の大学 ディプロマ
Diploma
1.5〜2年 理論と技術に基づいた専門性を身に着ける。入学条件は、サーティフィケート4のコース修了、または規定の高校修了資格。
上級ディプロマ
Advanced Diploma
2〜3年 複数の職種に及ぶ適性能力、さらに複雑でハイレベルな専門技術、管理者としての責任が求められる。大学の学士号に次ぐ資格であり、入学条件はディプロマ修了、または規定の高校修了資格。
大学学部(Undergraduate) 学士号
Bachelor Degree
3年 学士課程
オナーズ・イヤー
Honours Year
1年 学士課程修了後に履修する、1年間の専門的な研究(通常、学士課程の成績優秀者のみ履修できる)。
大学院(Postgraduate) グラデュエート・サーティフィケートGraduate Certificate 通常6カ月 専門職での最新技術と知識の習得を目的とする。入学条件は学士号を取得していること。
グラデュエート・ディプロマ
Graduate Diploma
通常1年
修士号
Masters Degree
1〜2年 修士課程。リサーチ(研究)またはコースワーク(講義履修)がある。
博士号
Doctoral Degree(PhD)
通常3年 博士課程。専門的な研究を行い、研究論文を仕上げる。主にリサーチ(研究)、まれにコースワーク(講義履修)もある。オナーズ・イヤーでの成績優秀者、または修士号を取得した者が履修できる。

 
<表2>年間スケジュール

1月 2月 3月 4月 5月 6月
夏休み 夏休み
オリエンテーション
入学
1学期

 

7月 8月 9月 10月 11月 12月
冬休み
オリエンテーション
入学
2学期 夏休み

 
<表3>

■学費(年間)
学士号 ・・・・・・$15,000〜33,000(約135〜307万円)
修士号 ・・・・・・$20,000〜37,000(約180〜333万円)
博士号 ・・・・・・$14,000〜37,000(約126〜333万円)
※$1=約90円として計算。費用の高い獣医学や医学などのコースは含まれていない。
これに加え、年間約500〜1,000ドル(約4.5〜9万円)の教科書代がかかると豪政府教育省の調べで分かっているが、中古の教科書を安く購入したり、図書館の本を利用したりすることもできる。

 

 職業教育訓練校

職業教育訓練(VET)の資格は、卒業後にすぐ就職する場合や、高等教育への進学の第1歩とする場合に役立ち、この資格が取得できるコースでは、実践に基づいた知識を得られるので、高校を卒業したての青少年から社会人まで、多くの人が通っている。VETの資格は、テイフ(Technical and Further Education=TAFE/職業訓練専門学校)と呼ばれる政府機関と、民間の機関が提供しており、政府と業界の提携によって運営されている。そのため、より実社会に基づいた知識や技術が得られるのだ。また教師陣も各業界での実務経験者が多く、業界の最新動向が反映されているところも魅力。さらに、インターンシップが含まれているコースもあり、就職を目指して履修することができるのも強みだ。

 
資格の種類

学位 期間 期間
サーティフィケート1
Certificate I 
4〜6カ月 必要な管理指導の下で、業務内容の理解、実行能力に基づく初歩的な技術を身に着ける。
サーティフィケート2
Certificate II 
6〜8カ月 決められた管理指導のもとで、サーティフィケート1よりさらに複雑な業務内容を理解し、実行能力に基づいた基本的な技術を身に着ける。
サーティフィケート3
Certificate III
 約1年 専門性と業務管理能力、高いレベルの自己管理能力、技術面での適応力を身に着ける。
サーティフィケート4
Certificate IV
 1〜1.5年 幅広い専門性、一定の責任に基づいた業務管理および経営管理能力を身に着ける。サーティフィケート3のコース修了、または規定の高校修了資格を持つことが入学条件。
ディプロマ
Diploma
 1.5〜2年 理論と技術に基づく高い専門性を身に着ける。サーティフィケート4のコース修了、または規定の高校修了資格を持つことが入学条件。
上級ディプロマ
Advanced Diploma
 2〜3年 複数の職種にわたる適性能力、より複雑かつ高いレベルの専門技術、管理者としての責任が求められる。大学の学士に次ぐ資格。ディプロマ修了、または規定の高校修了資格を持つことが入学条件。
ボケーショナル・
グラデュエート・
サーティフィケート
Vocational Graduate Certificate
半年 修士課程のグラデュエート・サーティフィケートに相当し、ある職業分野のエキスパートとして、マネジメントに基づく高度な職業知識とプロとしての専門スキルの向上を目指す。アドバンス・ディプロマや学士号などの特定の学歴と職歴を持つことが入学条件。
ボケーショナル・
グラデュエート・
ディプロマ
Vocational Graduate Diploma
1年 修士課程のグラデュエート・ディプロマに相当。ボケーショナル・グラデュエート・サーティフィケートに引き続き、ある職業分野のエキスパートとして、さらに高度な職業知識と専門スキルの向上を目指す。アドバンス・ディプロマや学士号などの特定の学歴と職歴を持つことが入学条件。

 

 語学学校

オーストラリアの語学学校には、目的別に作られたさまざまなコースが用意されており、英語力全般の向上を目指す一般英語コースから、看護やビジネスなどの専門英語のスキルを磨く専門英語コース、スポーツや観光、文化活動などが組み合わさったスタディー・ツアーのコースまで、種類は実にさまざまだ。また、英語能力試験であるIELTSやTOEIC、TOEFLなどの対策コースも。
 クラスは1クラス大勢で受けるものから、少人数、プライベート・レッスンなど学校によってさまざま。各校で提供されているコースやテキストが異なるので、まず留学エージェントでアドバイザーに相談し、ある程度、何校かに絞ってから下見に行くと、自分にぴったりの学校が見つかるはず。

 
語学学校のコース例(参考:SELCの場合)

コース名 内容
一般英語コース
(General English)
英語が話される国で何らかの仕事をするため、さらに高いレベルの英語コースに進むため、英会話力を伸ばすため、旅行用の英語を上達させるためなどに、総合的な英語力を向上させるコース。スピーキングとリスニングを重視し、コミュニケーション・スキルを上げる。
進学準備英語コース
(English for
Academic Purposes)
大学や大学院、専門学校への進学を希望する人に向け、進学後に必要な英語、学習法や知識を身に着けられるコース。修了後、提携校に進学の際は英語能力試験の受験が免除され、ダイレクトに進学することが可能。
試験対策コース IELTSやTOEFL、TOEIC、ケンブリッジ検定などのための試験対策を目的に行われている英語コース。英語の基礎を学ぶだけでなく、試験への取り組み方などについて、試験に精通した講師陣が教えてくれるのが魅力。
教育のための英語 帰国後、母国の学校で英語を教えたい人などに人気の英語コース。TESOL(英語以外の言語の話者への英語教育)、EFTC(児童への英語教育)などに特化したコースがあり、目的別にコース選択できる。英語だけでなく、教授法が学べ、インターンシップのある学校も。
スタディー・ツアー 短期休暇を取って英語を勉強したい人に人気の語学研修。総合英語のクラスに加えて、スポーツや社会、観光、文化活動などが組み込まれている。
専門英語コース 専門職や特定の分野で必要となる英語力を伸ばすコース。ビジネス、IT、看護関連の分野が人気だ。

※ほかにも多くのユニークなコースが提供されているので、学校選びの際は、ぜひ数校を比較検討しよう

 

 さまざまな学習ニーズに応える習い事

 

 

 

オーストラリアにも、日本と同じようにたくさんの習い事があり、個人が行っているものから、団体や企業、コミュニティー、学校などが経営するものもある。

中でも美容や健康に効果的な体を動かす習い事は楽しみながらできるので、この国でも大人気。ズンバやバレエ、ストリート・ダンス、社交ダンスなどのダンス教室のほか、ヨガや瞑想などもある。これらは、最寄りのフィットネス・クラブや個人教室などで開かれており、習う期間やレッスン日が決められているものもあれば、回数券を渡され、自分が好きな時に習いにいけるようなフレキシブルなものもある。

大人のための習い事として、近年特に女性の間で人気を集めるのは、アロマなどを使用するセラピー系の習い事。趣味として習う人もいれば、プロになる第1歩として本格的な集中コースを履修する人も。そのほかケア・ワーカー、ヨガのインストラクター養成コースなどもあり、就職のほか、サロンや学校の開業を目指している人が、資格を取得したり経験を得ることもできる。さらに、今のキャリアや業務に役立つデザインやIT関連の講座もあり、マーケティングや広報などに使える知識を身に着けられる。

教養のために書道や、着付け、フラワー・アレンジメント、絵付けなどの教室に通うのも人気。地元の人と通えば、異文化交流にもなること請け合いだ。

一方、子どもや大学生が対象の学習塾もあり、日系の子どもたち向けにバイリンガル教育の基礎を築くものから、読み書き、算数など学力全般を意欲とともに引き上げるもの、独特の学習方法で、多角的に物事を考える力を身に着けさせるものなど、種類は実にさまざまだ。また、大学入学統一試験であるHSCなどの対策や、学校のテスト対策などのクラスもあり、万事に備えることができる。

塾の選び方は人それぞれだが、やはり子どもに合った学習塾を一緒に選びたいもの。まずは学校の先生に相談して子どもの苦手なことを確認し、何を補強すべきかを検討しよう。その後、塾のクラスの内容、さらに個人レッスン、少人数制クラス、大人数クラスなどクラスの規模を考え、塾を選ぶのがお薦めだ。先生の目が子どもたちに行き届きやすい少人数制クラスにするか、大勢の生徒と切磋琢磨しながら学ぶ大きいグループのクラスにするか、あるいは個人レッスンにするか、子どものタイプに合わせて、塾選びを慎重に行いたいものだ。

小学生よりも小さな子どもに関しては、日本人保育士のいるチャイルド・ケアが都市部などにあるので、利用すれば言語や文化面でのサポートも期待できそうだ。

 

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