第7回 「猫に小判」

慣用表現英語でDo You Know ?

日本語の慣用表現
        どう言うの
英語で Do You Know ?
オーストラリア国立大学
アジア研究学部日本センター准教授 池田俊一

第7回 「猫に小判」

 前回、「馬の耳に念仏」という言い方に触れたが、似たような表現に「猫に小判」という言い方がある。何か貴重なものを与えても、反応がないことを指すが、転じて、価値のあるものでも、持つ人によって何の役にも立たないことを表す。
例1 あの人にそんな高価な物をあげても猫に小判だから、やめた方がいいんじゃないか。
It’s better not to give him such an invaluable item, as it is just “caviar to the general”, isn’t it?  
この “caviar to the general” という表現は、シェークスピアの「ハムレット」に出てくる台詞で、「あまりに高尚で俗受けのしない一品」という意味を表し、”to cast pearls before swine” (豚に真珠)という表現と似通っている。  
――では、ほかにも「猫」という言葉の入った言い回しを挙げてみよう。
例2 新型インフルエンザで病休中の人が多いので、猫の手も借りたいほど忙しい。
As many employees are absent because of the swine flu, we are very busy and short-handed.
例3 最近は、電車の中でも猫も杓子も携帯電話で熱心にテキスト・メッセージを送る姿が目につく。
Even on the trains lately we often see every Tom, Dick and Harry texting on their mobiles.
「猫も杓子も」は、「誰も彼も、みんな」という意味で、”all the world and his wife; anybody and everybody” という言い方もある。
例4 おい、どうしたんだい、今日は。借りてきた猫のように、いやにおとなしいじゃないか。
What’s happened to you today? You are as gentle [meek] as a lamb [kitten].
例5 引退したら、どこか田舎に、猫の額ほどの土地を買って晴耕雨読の生活をしようと考えている。
When I retire, I’m thinking of purchasing a tiny strip [a postage stamp] of land in the countryside and leading a life of “working in the fields in the fine weather and reading at home in the wet weather”.
例6 そんなことをしたら、猫に鰹節だ。
If you do that, that’ll be like setting a fox to keep geese [like putting a wolf in the sheepfold; like trusting a cat with milk].
 さあ、猫をかぶらずに、知っている表現はどしどし使おう。
(Well, don’t feign innocence; try using the expressions you know as much as possible.)
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件名:日本語・池田先生係

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