福島 摂子さん

あの人の本棚

あの人の本棚

本紙連載の筆者をはじめ、在豪の気になるあの有名人が愛読書を公開。各本の読みどころをじっくり紹介してくれるというこのコーナー。本棚をのぞけば、その人の意外なパーソナリティーが見えてくる。

今回のゲスト

福島 摂子さん

「読書は生活の一部」と語る福島さんの自宅の本棚は、医学書や科学、化学といった専門書から、新書、実用書、歴史小説、エッセイ、アートまでバラエティーに富み、その数はおよそ1,500冊にも上る。「古典が好き」という同氏だが、今回は子どもから大人まで読みやすいものを厳選してお届け。

あの人の本棚

Tom’s Midnight Garden
Philippa Pearce(著)
Oxford University Press(2008/09)
ISBN: 978-0192720825

ポイント:交錯する時の流れの中で育まれる友情の物語
こんな人にお薦め:子どもだけでなく大人にも

ここがお薦め!

部屋の時計が、存在するはずのない13時を告げる。すると、月明かりの下にあるはずのない庭園が広がっている…とい
う非常に魅惑的な展開を繰り広げるストーリーです。「時」の扱い方が独創的で、情景描写も生き生きとしていて印象深いです。児童書ですが、心温まる思いがけない結末には、大人であればなおのこと、愛おしいほどの感動が心に深く残ります。和書もあります。

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いのちの窓
河井寛次郎(著)
東方出版(2007/02)
ISBN: 978-4862490513
ポイント:独特の作風と世界観を築いた筆者ならではの言葉
こんな人にお薦め:芸術や哲学に関心のある人へ

ここがお薦め!

陶磁、書画、木彫など多彩な分野で精力的にその才能を発揮した、筆者ならではの言葉を集めた書。いち陶工として生涯を生きた彼の概念には真理があり、その美意識、宇宙観、仕事観にとても共感を覚えました。人間国宝や文化勲章に
推挙されても応じず、土と炎が創り出す美の極みを追い求めた同氏は、日本の民芸運動の草分けの1人としても知られています。

あの人の本棚

いのちのバトン

日野原重明(詩と文)、いわさきちひろ(絵)
ダイヤモンド社(2008/11)
ISBN: 978-4478006801
ポイント:目にも心にも美しく記憶に残る
こんな人にお薦め:絆を感じたい人へ

ここがお薦め!

私が、自分の子どもたちによく読み聞かせる本の1つです。いわさきちひろの絵も本当に素晴らしいです。文中に、「いのちとは、”君たちの持っている時間” ”君たちが使える時間”のことです」とあります。時間を使うということは、命を使うということ。財産や地位や名誉を得る努力をするのではなく、使える命を高く保つための勉強をし、役立つ命になりたいと教えてくれます。

あの人の本棚

絵のない絵本

アンデルセン(著)、矢崎源九郎(翻訳)
新潮社;改版版(1952/08)
ISBN: 978-4102055014
ポイント:情景が浮かぶ美しいストーリー
こんな人にお薦め:すべての人へ

ここがお薦め!

引っ越したばかりの貧しく孤独な絵描きの「わたし」に月が語かける33の小さな物語。さまざまな時代や場所で起こった
出来事を話す時の月の眼差しには、すべてを包み込み、静かに見守る母のような温かさがあります。綴られる言葉の映像喚起力が素晴らしく、読み進めるほどに情景が夢のように浮かび上がっていきます。切なくも優しい、大切に読み続けたい1冊です。

あの人の本棚

あさ/朝 ゆう/夕

谷川俊太郎(文/詩)、吉村和敏(写真)
アリス館(2004/11)
ISBN:978-4752002925
ポイント:生命の歓喜、魂の誓い
こんな人にお薦め:心癒されたい人へ

ここがお薦め!

現代日本を代表する詩人の谷川俊太郎と、プリンス・エドワード島を撮り続けている写真家の吉村和敏とのコラボレーショ
ン。現代の情報は、何でもデジタル化して分割、整理、分析、理解することに一生懸命ですが、一方で「詩」は、切り刻まれたものたちを結びつけてくれます。彼の言葉は、幼子のように愛らしく、時に力強く、荘厳で、正直。まるで自然そのもののようです。


PROFILE 福島 摂子

ふくしませつこ◎教育カウンセリング・海外帰国子女指導を専門とし、シドニーで私塾『福島塾』を開いていたが、2005年からは拠点を日本へ移す。豪在住者への情報提供やカウンセリング指導は継続中。本紙では人気連載コラム、「福島先生の教育指導」(P54)を執筆中。

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