深海の高級魚の釣り

深海の高級魚の釣りLet’s 豪 Fishing ! 
第156回

フィッシング・ライター 金園 泰秀
深海の高級魚の釣り
「また、小鯛が掛かってしまった ! 」。日本製のアジ、サバ用サビキ仕掛けにヒットしてくるのは、全長10~15センチ前後のマダイの子どもばかり。肝心のアジやサバなどがぜんぜん掛かってこない時がある。沿岸のアジ、サバの根で、エサとなるこれらの魚を確保するのに時間を費やしてしまうと、沖合いでの深場釣りの時間も短くなってしまう。
(写真)NSW州中北部の深場ポイントは、高級魚の宝庫とも言える


深場の釣り魚はハタ類や大型のマダイ、カサゴなどが多い深場の釣り魚はハタ類や大型のマダイ、カサゴなどが多い

 NSW州やQLD州南部の沖合いには、ハプカ(アラ)、バーコッド(クエ)、ブルー・アイ・コッド(メダイ)などの鍋料理に向いた高級魚が狙える根が点在している。いずれのポイントも水深が180~600メートルもある大陸棚近辺にある。
 NSW州北部のバイロンベイや南部のバーマギュイ付近では、比較的に陸地から近い場所に大陸棚があるので、昔から深海の延縄漁が盛んな場所として有名だ。港に停泊している漁船のデッキ上には、長い竹竿の先に目印となる赤い布や小型のブイなどを付けた浮木が所せましと並べられている。この浮木は何百本のエサが付いた針の仕掛けを降ろした時に仕掛けの両端にセットして、後で回収するための目印として海上に浮かべて使う。沖の漁場では、漁船がこのような目印が付いた仕掛けを上げたり、降ろしたりして漁をしている。
 釣りで深海の高級魚を狙う場合は、ネムリ針(サークルフック)と呼ばれる口に掛かった時に外れにくい針を使い、それに生きたアジやサバなどのエサを付ける。アジ、サバがなかなか釣れずに手に入らない場合は、冷凍のイカやイワシなども使うが、魚の食いは生きたエサが一番である。
 そのエサと重いオモリを付けた仕掛けを、水深が180メートル以上もある大陸棚のポイントに降ろして海底近くに生息するハタ類を狙い、遠い海底から届くかすかなアタリを感じとって仕掛けを上げる。潮流が早く流れたり、天候が変わりやすい夏のシーズンは不向きだが、それらが穏やかになってくる秋~冬のシーズンは釣りやすいので、これからが深海釣りの本格的な季節となる。
 1キロの重さがあるオモリを付けた仕掛けを、180メートル以上もある海底まで上げ下げするのはたいへんな重労働だが、最近はオーストラリアでも電動リールが普及してきたので使う人も増えてきたようだ。ボートのロッドホルダーに竿を立て、電動リールのスイッチを入れて巻き上げるだけのレイジーな釣りだが、竿先に伝わってくる魚の引きや、深海からの水圧の関係で浮き袋や胃袋が風船のように膨らんで水面に浮き上がってくる大型の獲物を見ると、それなりに楽しく“おいしい”釣りだ。
 少し前までは、深い場所を狙うには大型の漁船タイプのボートを使って、ポイント上でエンジンを止めて潮と風まかせに漂流しながらのんびりと釣ることが多かった。しかし、少し海が荒れて風が吹き始めるとボートが風に押されて流され、真っ直ぐに下に降りていた糸が斜めになるので、糸が水深よりもかなり余分に出てしまうこともあった。
 トローリングに使う本格的なゲーム・クルーザーは、エンジンが2機付いていることが多く、操舵室が2階部分のフライブリッジにあるので、風が吹いてボートが流されてしまう時には、操舵室から下の釣り人の糸の状態を見ながら、スクリューを後進させ、ボートを一定の位置に保つように微調整することができるので、深いポイントでも釣りが可能だ。ただ、操船するキャプテンが忙しくなるので長時間の釣りは嫌がられることが多い。
 日本の遊漁船は、船尾にスカンパーと呼ばれる三角帆が付いていて、風力計の矢のように常に風が吹いてくる方向にボートを向けることができる。また、風でボートが押された分だけエンジンを微速前進させれば、釣り人の糸は常に真下に降ろすことが可能なので、オーストラリアの釣り船と比べると非常に釣りやすい。
 日本の遊漁船の釣りに慣れている人が、日本の船用の釣り道具と仕掛けを持参してオーストラリアで釣りをしても、ボートのタイプとポイント上での流し方がぜんぜん違うので、釣りにならないことが多い。ボートを操船したことがある人が少ない日本からの釣り人にこの事情を説明するのは難しいものだ。
 さて、7月からの深場釣りの本格的なシーズンに向けて、今年もブリスベン、ゴールドコーストに住んでいるQLD州在住の日本人アングラーとシドニー近辺のNSW州在住のアングラーとの合同で、両方からの中間に位置にあたるNSW州中北部にて、家族も楽しめる2~3泊の「親睦遠征釣り」を計画している。
 電動リールのエサ釣り道具も、高価なジギングのタックルも日本の釣り具メーカーからの協賛である程度用意しているので、魚を持ち帰るための大きめのクーラーボックスか発砲スチロールを持参して、ぜひ参加してほしい。毎年、夜は釣りたての鮮魚の刺し身と鍋で舌鼓を打ちながらファミリーでワイワイ楽しく盛り上がるイベントだ(遠征釣りなどの情報は、下記ウェブに掲載)。
「オーストラリアの釣り情報」
www.fujimaru.com.au

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る