コッカー・スパニエルを飼っています。

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Q: コッカー・スパニエルを飼っているので すが、唇が垂れているので、口の周りはい つも湿っていて臭いも強いです。痒いせい かよく口をカーペットにこすっています。 何か良い対処法はないでしょうか。
(16歳女性=学生)

A: 口の周りに悪臭があり、痒みや痛みを伴う場合は、口唇炎を起こしている可能性があります。口唇炎は犬ではよく見られる皮膚疾患で、その原因もさまざまですが、コッカー・スパニエルは皮膚と皮膚が強く接触することで生じる間擦疹の1つ、Lip Fold Dermatitis に特になりやすい犬種です。

 

原因:

 犬は下唇の皮膚に生まれつきヒダがあり、皮膚同士の摩擦で炎症が起こります。そこにさらに唾液や食べ物のカスなどが溜まり、細菌が過剰繁殖して感染症が起こります。コッカー・スパニエル、バセット・ハウンド、アイリッシュ・セッター、セント・バーナードなど、唇が大きく垂れている犬種ほど、発症しやすい疾患です。

 ほかにもシュナウザーやウエスト・ハイランド・テリアなど、毛が長くて常に口の周りが湿っている犬種にもよくみられます。

 

症状:

 炎症に伴う痒みと痛みで、犬は足でしきりに口の周りを掻いたり、絨毯や家具で口をこすったりします。痛みが強いと顔を触られるのを嫌がるようになります。強い悪臭もあるので、よく歯周病だと勘違いする飼主もいます。

 下唇のヒダを広げると赤く腫れた皮膚が見られ、感染症が酷い場合は膿が出て、口の周りでカサブタ状になります。

 

治療:

 抗生物質と抗炎症剤の入った軟膏を局所に付けます。感染症が進んでいる場合は、内服薬も必要となります。唇のヒダは構造的な問題なので、内科的な治療で症状が一時的に治まっても、再発しやすい疾患です。そのため継続的な予防処置が必要です。

 唇のヒダが極度に大きい場合は、外科的に余分なヒダを切除する形成手術をする必要があります。

 

予防:

 口の周りの清潔を保つことが第一です。毛の長い犬は口の周りだけでも短く刈ることを勧めます。そして食事後に唇のヒダをきれいに拭くことで、感染の危険が減ります。

 動物病院で皮膚に刺激が少ない消毒液やシャンプー(Malaseb, Pyohex Shampoo)か皮膚消毒用のウエット・ティッシュ(MalAcetic Wipes)をもらうといいでしょう。

 そのほか、洗浄には濃く抽出して冷ました緑茶や紅茶も使えます。毎日の管理が大切なので、使い終わったティーバッグを有効利用するなど、継続出来る方法を見つけてください。

 また歯の健康も影響します。犬が口を閉じると、上の犬歯は下唇の外側に接触します。そのため歯石が溜まっていると口唇炎も起こしやすくなります。さらに歯周病を患っていると痛みで唾液の分泌が増してヨダレが多くなるため、細菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。

Note:口唇炎は接触性アレルギーによって引き起こされることも多く、オーストラリアでは特にツユクサ科の植物にかぶれる犬が多数みられます。ツユクサは唇のほかにお腹や足の裏などにも炎症が見られます。


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戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格取得に向けて勉強中。

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