犬のパルボウイルス感染症が流行っていると聞きました。子犬の時に予防接種を受けていますが、大丈夫でしょうか ?

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Q: 犬のパルボウイルス感染症が流行っていると聞きました。もうすぐ1歳になる犬を飼っていて、子犬の時に予防接種を受けていますが、大丈夫でしょうか?
(35歳女性=会社員)

A: 犬のパルボウイルス(Canine Parvovirus)は、主にワクチン未接種で、体力も免疫力も弱い子犬に見られる感染症です。非常に感染力が強く、激しい下痢と嘔吐を引き起こし、治療を施さなければ子犬での致死率は90%にも上る怖い病気です。
 しかし、ワクチンの接種で防げる病気でもあります。最近話題に上っている感染例は予防接種を怠った結果であり、きちんと受けていればまず感染の心配はありません。

 

犬パルボウイルス感染症
 パルボウイルスは、腸の粘膜や骨髄そしてリンパ系組織など、活発に増殖を行っている細胞に取り付き、破壊します。

 

症状
 4~10日の潜伏期間の後、激しい下痢や嘔吐、食欲不振や元気の消失、発熱などが見られます。下痢は強い悪臭を伴い、血が混じることもあります。早急に治療をしないと、ひどい場合は2~3日で死んでしまいます。
 直接の死の原因は、ウイルスに荒らされた腸壁が細菌の侵入を許すために起こる敗血症と、激しい下痢と嘔吐による重度の脱水症によるものです。まれに心筋炎を起こすこともあり、その場合は突然死としてみられます。

 

原因
 パルボウイルスは感染した犬の便や嘔吐物に多く排出され、汚染された食器、飼育環境、感染した犬やその飼主と接触することで感染します。環境内で数カ月?1年と生存する強いウイルスなので、衣服や靴に付けて遠くまで運んでしまうこともあります。

 

治療
 パルボウイルスに有効な薬剤は残念ながらありません。体の中でウイルスに対する抗体ができるまで入院して、支持療法を行います。脱水症状を和らげるための点滴、そして細菌の2次感染の治療に抗生物質を投与します。
 近年インターフェロンやタミフルでの治療も注目されていますが、まだ正確なデータを得られる臨床実験は行われていません。

 

予防
 パルボウイルスはワクチンの接種で予防できます。基本的な混合ワクチンには必ず含まれています。
 生まれたての子犬は母犬の初乳に含まれている抗体で、感染から守られています。この効力が薄れてくる生後2〜3カ月の子犬での感染症が一番多いため、その時期に合わせてワクチン接種を行います。
 また、この時期はちょうど新しい飼主にもらわれて行く時と重なるため、既に感染している子犬をもらって来て、2?3日後に発症することも珍しくありません。環境の変化によるストレス性の下痢かと勘違いしてしまい、治療が遅れることがあります。
 1度発症して回復すれば、2度目の感染はまずありません。ワクチンの場合、免疫力は徐々に落ちてくるため、定期的に接種を繰り返す必要があります。血液検査で、抗体の値が十分かどうかを調べることもできます。


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戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格取得に向けて勉強中。


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