白い部分が多い猫、皮膚がんになりやすい?

Q 昨年5歳の保護猫を引き取りました。白い部分が多い猫なので、皮膚がんに気を付けなければいけないと言われたのですが、猫の皮膚がんについて教えてください。
(36歳会社員=男性)

 

A 猫に多い皮膚がんは、扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん=squamous cellcarcinoma)です。これは鼻や耳によく見られ、皮膚の表面を覆っている組織ががん化したものです。
 この皮膚がんの発生は紫外線との関連があるため、日差しの強いオーストラリアで顔の周りが白い猫を飼っている方は特に注意が必要です。

 

症状

中高齢の猫に多く見られ、被毛の少ない耳の先端や鼻先、瞼、目の上から耳にかけての毛の薄い部分の皮膚などで発症します。初期症状は耳の表面では、皮膚の赤み、脱毛、カサカサしたフケなどが見られます。鼻の場合は表面が少し赤くただれて、擦り傷と見間違うこともあります。進行すると潰瘍ができ、出血とカサブタを繰り返し、次第にえぐれるように皮膚組織が崩れていきます。

原因

耳や鼻の扁平上皮ががん化する最大の要因は紫外線です。動物の皮膚組織には有害な紫外線から体を守るため、メラニンと呼ばれる色素を作る細胞があります。しかし、皮膚や毛の色が白いとメラニンが少なく、紫外線をうまく遮断することができません。そのため、特に被毛が薄く、皮膚が直接露出する鼻や耳に扁平上皮がんが発症しやすくなります(口腔や鼻腔に発生する扁平上皮がんは皮膚にできるものとは性質が異なり、色素の有無も関係しません)。

治療

外科手術でがんの部分を完全に切除することが最善の治療法です。しかし、耳や顔の皮膚に発症したがんは、よほど患部が小さくないと手術は困難になります。扁平上皮がんは転移する可能性は低い代わりに発症部位の周囲への浸潤性が強いため、早期発見、早期治療がとても重要な病気です。

初期でしたら切除ではなく凍結療法や電気焼灼でがん組織を壊死させて取り除くこともできます。限られた施設で放射線治療も行っていますが、完治は望めないため再発の危険があります。

予防

若いころから既に日光皮膚炎を発症している猫は、年を重ねる内に慢性的に紫外線にさらされた患部ががん化することもあるので早い対策が求められます。また手術をした後も再発、新たながんの発生を予防する必要があります。

紫外線を避ける一番の予防策は外に出さないで完全に室内飼いにすることです。少なくとも紫外線の一番強い朝10時から午後3時の間は外に出さないようにしてください。

室内飼いでも窓からの日差しが多く入る場合、紫外線カット効果のあるフィルムを窓ガラスに貼ることをお勧めします。

ペット用の日焼け止め、または人間の赤ちゃん用の日焼け止めクリーム(亜鉛を含まないもの)は耳には使えるかもしれませんが、鼻は塗ってもすぐ舐めとってしまうので実用的ではありません。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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