フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh) 「Van Gogh Alive」

ルーシーのアート通信

オーストラリアのアート業界で活躍中のコラムニスト・ルーシーが
オーストラリアを中心に活躍するアーティストと彼らの作品をご紹介。

第19回 フィンセント・ファン・ゴッホ
(Vincent Van Gogh)
「Van Gogh Alive」

Van Gogh Alive in Zurich ©MAAG
Van Gogh Alive in Zurich ©MAAG

アートの新たな展示方法として話題となり、世界各国600万人以上の鑑賞者を魅了してきた「ファン・ゴッホ・アライブ展」が遂にシドニーに上陸。多くのアートファンの間で話題となっている。

 会場は、COVID safeに登録され、車いすでの来場も可能なThe Royal hall of Industries。「世
紀末(fin de siecle)」(19世紀末)に登場したポスト印象派画家のファン・ゴッホの魅力を、1913
年に建てられた同会場の外観や空間がさらに彼の魅力を引き立てる。

見どころは、メルボルンをベースに活動するクリエイター、ブルース・パターソンがオーナー創設者のGrande Exhibitions社が手掛ける、多感覚的な鑑賞体験ができる最新展示システムだ。シネマ品質の音響と40台の高画質プロジェクターを組み合わせた最新技術「SENSORY4」を用いて、ファン・ゴッホの代表作である「星月夜」「アイリス」「ひまわり」などの画像を会場中に映し出す。当時を思い起こさせるようなクラシック・サウンドが鳴り響き、壁・柱・フロアに投影された3,000点以上の壮大な画像が光を放ち、観る者の心を掴む。鮮やかな色合いや筆使いなど、作品の細部は、まさに息をのむほど美しい。

大規模な展示に、まるで絵画の中に入り込むような感覚にさせられ、名作が新たな息吹を得て目の前に蘇る。これまでとは異なる新たな視点から、独自の見方を発見できることに加え、作品と共に展示された写真やビデオを通して、ファン・ゴッホのインピレーションの源を考察できるのもうれしい。

ファン・ゴッホの作品はこれまで数世紀にもわたり展示されてきた。だが、同展はよくある展示法とは全く異なる手法を用い、鑑賞者たちを圧倒し、ファン・ゴッホの芸術的世界観の更なる深みへと誘う。香り・音・色・光が織りなす幻想的な空間に包まれ、「忘れることのできない」鑑賞体験を味わうことができるだろう。

同展に関して、ファン・ゴッホの優れた才能を称える一方で、彼の才能が「安っぽく」映ってしまうと考える保守派もいる。

しかし、最新技術と融合したアート展は、今後の新しい世代のアーティストやクリエイターにとっては受け入れやすいものとなるだろう。その意味でも多くのアート・ファンの反応も気になるところだ。会期は12月20日まで。興味のある人はぜひ訪れてみるといいだろう。


ルーシー・マイルス

ルーシー・マイルス(Lucy Miles)
オーストラリアと日本のアート業界で25年以上の経歴を持つ。グリフィス大学で美術学士、クイーンズランド大学では美術史の優等学位を取得。現在、サウスポートを拠点にファイン・アート・コンサルタントとして活躍中。
■Instagram: @lucymilesfineart
■Web: www.lucymilesfineart.org

■Email: info@lucymilesfineart.org

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