保護される赤ちゃんコウモリ

オージー・ワイルドライフ 診療日記

第40回 保護される赤ちゃんコウモリ

ゴールドコーストは例年よりも早く夏を迎え、10月初旬から気温30度を超える日もありました。そのため、熱中症で衰弱したところを保護されたり、命を落とした野生動物もここ数カ月でたくさんいました。夜行性であるコウモリたちも、その例外ではありません。

オーストラリアに生息するコウモリは100種以上。ゴールドコーストで多く見られるのはクロオオコウモリ(Black flying fox)とハイガシラオオコウモリ(Grey headed flying fox)で、10月から11月にかけて出産のピークを迎えます。

毎年この時期になると、母親を亡くして孤児となったコウモリの赤ちゃんがたくさん保護されます。保護される理由はさまざまですが、母コウモリが有刺鉄線や防鳥網に引っかかってひどいけがを負ったり、熱中症で死んでしまい、赤ちゃんだけが助かったという場合がほとんどです。まれに「空からコウモリの赤ちゃんが落ちてきた」という話も聞きますが、これは、母コウモリのお腹にしがみついて飛行中にうっかり落ちてしまったか、タカなど猛禽類に捕まって連れ去られている時に落とされたことなどが推測されます。

中には、出産間近の母コウモリが重症のケガを負ってしまい、帝王切開で生まれた赤ちゃんもいます。

病院でひと通りの診察や治療を受けた赤ちゃんは、独り立ちできるようになるまでコウモリ専門の保護士さんの元で育てられます。

コウモリの赤ちゃん(Photo: Amy de Boer Photography)
コウモリの赤ちゃん(Photo: Amy de Boer Photography)

ゴールドコーストの内陸部ヒンターランドにある野生動物保護施設、「Australian Bat Clinic & Wildlife Trauma Centre」には、11月の時点で既に300を超える数の赤ちゃんコウモリが保護されています。授乳や排泄物の処理など、ボランティアの方たちが24時間体制で赤ちゃんの世話をしています。

もしけがをしたコウモリを見つけたら、すぐに「Wildcare Australia」(Web: wildcare.org.au)や「Bats Queensland」(Web: www.batsqld.org.au)などの保護団体に連絡してください。コウモリはヘンドラ・ウィルスやリッサ・ウイルスという感染症ウイルスを保持している可能性があるため、予防接種や訓練を受けていない人が直接コウモリに触れることは大変危険です。


■床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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