傷ついたヒナたちが来院する季節

 オージー・ワイルドライフ 診療日記

 第2回 傷ついたヒナたちが来院する季節

冬が終わり、暖かく過ごしやすい日が続いていますね。動物たちの行動が活発になっていることに気が付いた人もいるのではないでしょうか。野生動物の保護や治療に携わる私たちにとって春の訪れは、ベビー・シーズンの到来を意味します。

毎年この時期になると、巣から落ちてしまったヒナ、事故などで親鳥を亡くしてしまったヒナ、犬や猫に見つかって巣から連れ出されてしまったヒナなど、多い時には1日数十羽ものヒナが病院に連れてこられます。

カランビン・ワイルドライフ・ホスピタルには、常に室温28度以上を保っている飼育室や、温度を調節できる飼育器などがあり、ほとんどのヒナはこういった施設で保護されます。そして、病院スタッフとボランティアが協力して、お腹をすかせたヒナたちのため、数時間おきに(種によっては毎時間)エサやりをします。

獣医による診察を受けた後、健康なヒナはまず親鳥の元へ返す努力をします。発見者の協力を得て、元いた巣に戻すか、底に穴を開けたバケツを使って木の上に戻し、親鳥がヒナの所へ戻って来てくれるのを待ちます。


すぐに親鳥がヒナを見つけてエサやりを始めてくれることもありますが、何時間経っても親鳥の姿が見られない時は、保護士さんの元に送られます。ケガをしているヒナや親鳥を亡くしたヒナなども保護士さんの元で人工飼育され、独り立ちできるころに野生に返す訓練をします。

かわいいヒナを見つけてそのまま飼ってしまう人もいるのですが、野生動物を州政府の許可なく飼育することは違法であるだけではなく、人になついてしまった野生動物を訓練して野生に戻すことは本当に大変で、成功するケースはごく稀です。

ヒナが巣の外にいても、健康で親鳥が頻繁にエサをやりに来ている場合は保護の必要はありませんので、そっと見守ってあげてください。

もし、皆さんが傷ついた鳥のヒナを見つけたら、できるだけ早く最寄りの動物病院に連れて行ってください。

 
 
■床次史江(とこなみ ふみえ)

クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る