第14回 IT停電対策

パソコン・トラブル・シューティング

岩戸あつしの
パソコン・トラブル・シューティング

パソコンにおける、身近なトラブルの解決方法ををコンピュータ・エンジニアの岩戸あつしさんが分かりやすく解説してくれる。

 

第14回 IT停電対策

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今回の東日本大震災で停電が大きな問題になりました。停電が長くなるとノートPCや携帯電話のバッテリーが切れ、充電ポイントが見つからず、情報が断絶してしまいます。被災者の多くが語っていますが、情報が断絶した状況は想像をはるかに超えて恐ろしく、パニック状態に陥ったようです。

これらの反省から、日本では普段から長い停電時に備えて、IT機器を充電する機器を購入しておこう、という機運が高まってきています。

オーストラリアは普段から停電の多い所なので日本よりもっと停電に対する備えが必要と思われますが、どんな機器で、どのくらいのものを買っておけば、どのくらいの効果があるのか分からない人が多いと思います。そこで今回は、IT機器の充電対策を調べてみました。

*このコーナーではウィンドウズについて解説します。

UPS

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無停電電源装置Powerware 5110

UPSは日本語で「無停電源装置」と言われるように、停電時にも電源を供給できるようにするものです。

電気を供給するためのバッテリー代わりに使用すると思っている人がいますが、本来の趣旨からいうとそれは間違いです。家庭用の100~300ドルくらいで売っているUPSだと、使用する電力によっても異なりますが、停電時の電源供給はデスクトップPCでせいぜい1時間が限度です。

UPSの一番の目的は停電時にコンピュータ(主にサーバー)を安全にシャット・ダウンさせ、ハードディスクが物理的に損傷するのを防ぐことです。

UPSは停電が起こったとき、UPSのバッテリーに即座に切り替えて、それから5~10分ほど待って、さらに停電が続いている場合はシャットダウンモードに入ります。このハードディスクの処理を、昔のレコード・プレーヤーで例えるなら、レコードが傷つかないようにアームを上に上げ、元の位置に戻してから電源を切るような操作にあたると言えるでしょう。

安全にシャット・ダウンさせるには、UPSから電源を取るだけでは不十分で、USBケーブルなどでコンピュータとUPSをつなぎ、さらに専用のソフトを使用する必要があります。

UPS上にいくつも電源プラグがある割には、このシャット・ダウン機能はコンピュータ1台だけ使用可能というのが普通です。それ以外の機器はバッテリーの寿命とともに停止しますので、夜中に長い停電があると停電で電気が切れるのと変わりません。

では、1,000ドルを超えるような大きなUPSだと非常用バッテリー代わりに使えるかというと、確かにより長持ちはしますが、UPSは鉄の塊のような物で、大きくなればなるほど重く持ち運びできなくなり、移動用としては適していません。

ポータブル発電機

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ヤマハポータブルタイプ 発電機 EF1000iS (DC12V、12.7kgs.)

屋台の店が電灯用に使っていたのを思い出します。多くは通常のガソリンを使って電気を起こすもので、今回の震災によってこれが見直され、コンピュータや携帯電話の非常時充電用に購入する人が増えました。

ガソリンの補充が必要ですが、逆に言えば、ガソリンさえ十分買いためておけば、電気をいつでも起こすことができます。

12ボルトくらいまでのノートPCや携帯電話など、少しの電圧、電力ですむものであれば、片手で持ち上げられるくらいの大きさ、重さですが、240ボルトのデスクトップ・コンピュータをカバーしようとすると、かなり大きな据え置き型の発電機を買う必要があり、現実的ではありません。

ソーラー・バッテリー

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iPhone用Energizer Energi To Go

どんな災害時にも太陽さえあれば電気を起こすことができるので、理想の機器なのですが、問題は発電量にあります。ノート・パソコン1台を安定して電源供給するためには、現状ではノート・パソコンよりも何倍も大きくて重い太陽電池パネルが必要になり、しかも太陽がいつも照っていると限らないため、どうしても安定した供給が望めません。

唯一、iPhoneなどのスマートフォンは、電力も少なくてすむことから、持ち運びのできるソーラー・バッテリーがアクセサリーの一部として売られていますが、どれもこれで安心というレベルまではいかず、ないよりましだろうというレベルのようです。


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岩戸あつし <著者プロフィル>
 

大学院卒業後、貿易会社を経て、コンピュータ・エンジニアとして活躍。日経CGなどへの執筆、PCショーの講師を勤める。1992年、オーストラリアに移住。1994年シドニーにジャパン・コンピュータ・ネットを設立、主にシドニー在住の日本人、日本企業にコンピュータ・サービスを開始する。現在同代表取締役社長。

 

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