第16回 サイバー攻撃

パソコン・トラブル・シューティング

岩戸あつしの
パソコン・トラブル・シューティング

パソコンにおける、身近なトラブルの解決方法ををコンピュータ・エンジニアの岩戸あつしさんが分かりやすく解説してくれる。

 

第16回 サイバー攻撃

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今、サイバー攻撃が何かと話題になっていますが、いろいろ記事を読んでもサイバー攻撃がどんなものかピンとこない人も多いと思います。日本の大手企業や政府が攻撃を受けても、まさかシドニーの小さな事務所まで攻撃しないだとろうと思っている人も多くいると思います。

 古い話になりますが、第2次世界大戦中に日本の暗号が破られ、海外への通信が敵国に筒抜けになっていたのは有名な話です。どこかの大使館が不用意に捨てたゴミが暗号を敵に解読される原因の1つになったという話も聞いたことがあります。

 今日、表面上は平和でもネットの世界では「サイバー・テロ」「サイバー戦争」と言われるように、いろいろな暗躍が至るところで渦巻いています。サイバー攻撃で、コンピュータを派手に破壊するのであればすぐに分かりますが、密かに潜り込んで情報を盗んでいるものは気付かないことがあります。

 今回、日本の大手企業や国会を狙ったサイバー攻撃がきっかけとなり、調べてみると、あちらもこちらもやられていたという状況で、これからもこのようなニュースはたくさん出てくると思われます。ただ戦争と違って銃の代わりにコンピュータを用いることから、直接命を狙う訳ではないので、軽く考えがちですが、無防備にしているといつ自分にも災難が及ぶかもしれません。最低限の防衛をするための基本的な知識は持ち合わせるべきだと考えます。

 

サイバー攻撃とは

 主にインターネットを通じて、相手のコンピュータやサーバーに侵入し、破壊したり、情報を盗んだり、情報を漏洩させたりする攻撃のことを言います。

 大きく分けて2種類あり、特定の企業や政府機関を狙う「ターゲット型」。不特定にセキュリティー・ホールを狙う「不特定型」です。

 後者の「不特定型」の場合は、例えると辺り構わず機関銃を掃射するやり方で、ネットのセキュリティー・ホールという、家に例えると窓のシャッターが壊れていることがあると、そこを破壊して侵入するものですが、最近はセキュリティー・ホールが見つかるとすぐにマイクロソフトなどのメーカーがセキュリティー・ホールを修復するパッチを自動でアップデートしていますので、昔よりは被害が少なくなってきました。

 最近多いのは前者のターゲット型です。
 

トロイの木馬

 最近ニュースを賑わせているのがターゲット型です。つまり不特定ではなく、ある国の政府や企業を攻撃対象として、攻撃してくるもので、その攻撃方法がいろいろあり、特に有名なものとして「トロイの木馬」があります。

 ギリシャ神話に出てくるトロイの木馬は、敵に大きな木馬の贈り物を送り、その贈物の中に兵士を忍ばせておき、闇に乗じて木馬の中ら兵士が出て大暴れしたというものです。

 ネットの話に戻すと、主にメールを使って、「放射能に関する重要な情報」とか「地震速報」などというユーザーがどうしても注目してしまうような虚偽のメッセージを送ります。そしてユーザーに、添付ファイルやリンクをクリックさせることによって、仕組まれた悪意あるプログラムを起動させたり、ユーザーが知らないうちに仕込んだりするものです。

 トロイの木馬が入り込むとどうなるかというと、例えば、ユーザーのコンピュータの情報が外から見ることができるようになったり、外からリモートで操作できるようになったりします。

 よくコンピュータのサポートが使っているログミーイン(LogMeIn)とか、チーム・ビューワー(TeamViewer)と言われるソフトをご存じでしょうか?これらのソフトはサポートする人がユーザーのPCをあたかも自分のPCのようにマウスやキーボードを使って遠隔操作できるソフトで、この場合はユーザーが承知の上で許可して行いますが、ユーザーが知らないままやってしまうのがトロイの木馬に代表される「マルウエア(Malware)」の特徴です。
 

対策

 当たり前のことですが、まず、必ずセキュリティー・ソフトを入れてください。最近はマイクロソフトから無料の「セキュリティー・エッセンシャルズ」というソフトも出ています。

 そして、更新が最近行われたかチェックしてください。

 しかし、セキュリティー・ソフトを入れているから安心というわけではありません。特にトロイの木馬で代表される、メールの添付やリンクから感染するものは、セキュリティー・ソフトを入れていてもそれを掻いくぐって感染させてしまいます。やはり怪しいメールは何もクリックせずにゴミ箱に入れるのがよいと思われます。

 あとは、知恵を働かせてください。本当の緊急連絡の場合は、通常クリックせずとも本文にその内容が書いているはずです。見ず知らずのあなたに綺麗な女の子からデートのメールが来るわけがないのです。

 もし感染したと感じたら、躊躇せずに専門家に見せるか、リカバリしてください。

 最後に「インターネットを使っている限りあなたのコンピュータは全世界とつながっている」ことを忘れないでください。


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岩戸あつし
 

大学院卒業後、貿易会社を経て、コンピュータ・エンジニアとして活躍。日経CGなどへの執筆、PCショーの講師を勤める。1992年、オーストラリアに移住。1994年シドニーにジャパン・コンピュータ・ネットを設立、主にシドニー在住の日本人、日本企業にコンピュータ・サービスを開始する。現在同代表取締役社長。

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