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高齢者介護施設の食事内容に適切な監査なし

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連邦増額にもかかわらず3分の1が3食10ドルで

 保守連合連邦政権は高齢者介護施設の食事内容が問題になった後、施設への補助金を増やし、セレブ・シェフを起用した調理指導ビデオを作成させもしたが、現実には監査もなく、3分の1の施設が入居者の1日3食の食費にわずか10ドル未満しか割り当てていないことをABC放送の時事番組「7.30」が明らかにしている。

 かつて、高齢者介護施設特別調査委員会が設立され、施設のショッキングな食事の貧しさが暴露され、連邦政権が改善を約束したが、現実にはほとんど改善されていないことが示されている。

 保守連合連邦政権は、特別調査委員会の報告書に基づき、入居者1人1日当たりの食費を$10増額するとしているが、1人1日当たりの食費が$10に満たなかった883施設のうち、高齢者施設品質安全委員会(Aged Care Quality and Safety Commission)の監査を受けたのは41施設にとどまっており、入居者の家族や施設職員の多くが、「食費増額後も食事内容に変化が見られない」と証言している。

 施設の3分の2は平均して1人1日$14を食費に充てているが、3分の1は$10未満、2%の施設は$6未満だった。

 元保健省事務次官で現在はヘルス・エコノミストを務めるスティーブン・ダケット氏は、「明確な監査手続きもスプレッドシートの報告書がなければ事実はまったく分からない」と批判している。

 また、連邦政府は、セレブ・シェフのマギー・ビア氏を起用し、60万ドル近い経費で施設の料理人向けのオンライン料理講座ビデオを制作させ、業界では無料でビデオにアクセスできると考えていたが、実際には各30分11回の講座ビデオで総額$480近い料金がかかるものだった。ダケット氏は、「施設の多くは零細で施設料理人にこのような有料ビデオを用意することはできない。食事内容については委員会が抜き打ち監査しなければならないが、現実には政府は施設業界に大甘で何の透明性も確保されていないと批判している。

 ビア氏は、「60万ドルの予算のほとんどがビデオを制作したAltura Learningに支払われた。施設料理人に無料で開放したところだが、Altura Learningも営利事業だから収益を考えなければならない」と語っている。そのAltura Learningは、高齢者介護施設業者のBolton Clarke氏が所有している。しかも、栄養士やシェフの中には、問題のビデオは施設の料理人には難しすぎる内容であり、料理の材料も高価だったり、一般には手に入らないような珍しい材料だったりして現実的ではないと懸念を示す声もある。

 2020年には、マギー・ビア・ファウンデーションが保健相から40万ドル近い予算を受け取っており、2日間の「高齢者介護施設献立栄養食事全国会議」を開いている。

 ダケット氏は、「政府がマギー・ビア氏を起用したことで国民は高齢者介護施設の食事水準が向上したという印象を受けている。ビア氏は有名で評価も高く、彼女のファウンデーションがこれこれのことを実現すると言えば、連邦政府の功績と見なされる。政府ははそれを望んでいるのだろう。国民はこれで問題が解決するものと思い込むが、現実に施設の食事がどれほど改善されるのかはまったく不明だ」と語っている。
■ソース
Aged care homes don’t need ‘evidence’ on food spending to receive government funding, with a third still spending less than $10 a day

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