エリス前副総裁は「年内に9月と11月」と予測
オーストラリアの中央銀行、豪準備銀（RBA）のミシェル・ブロック総裁は9日、連邦下院議会の経済委員会で証言を行い、インフレ沈静化の確信が持てるようになれば、消費者物価指数（CPI）の上昇率が2〜3％の目標に戻る前に利下げに踏み切る用意があることを示唆した。利下げの時期や幅については明言しなかった。ブロック総裁が同委員会で証言するのは2023年9月の就任以来初めて。
公共放送ABC（電子版）によると、ブロック総裁は「現在の引き締め的な金融政策を緩和して中立に戻すのはいつか、利下げを考える時に（インフレ率が）2.5％程度の目標圏内になくてはならないのか、という議論がある」と述べた。その上で、総裁は「私はそうとは思わない。しかし、引き締め的な金融政策を排除し始めるには、そこ（インフレ目標）に到達するとの強い確信を持つ必要がある」と指摘した。
また、ブロック総裁は7月1日に施行予定の個人所得税減税「ステージ3」（第3弾）の見直しについて、インフレに影響を与えることはなく、富の「再分配」として機能するとの認識を示した。
オーストラリアでは2023年10-12月期の消費者物価指数（CPI）の上昇率が前年同期比4.1％まで低下するなど、予想を上回るペースでインフレが鈍化しているとの認識から、早期利下げへの期待が高まっている。
一方、23年10月までRBA副総裁を務めたウェストパック銀のルーシー・エリス首席エコノミストも、インフレ率が3％を割るまでRBAが利下げを待つことはないと考えている。エリス氏はABCの経済番組で「今年の後半、おそらく9月くらいに、RBAはインフレ率が2〜3％に戻るという確信を持つことになるだろう」と語った。ただ、利下げの回数については「年内に1回か2回。9月と11月と見ている」と予測している。
■ソース
Inflation remains a major challenge but there are ‘encouraging signs’, Bullock says（ABC News）
When will the Reserve Bank start cutting interest rates? （ABC News）
