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オーストラリア産クラフト・ジン 日本の巨大酒造メーカーが触手を伸ばす理由

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アサヒがマクラーレン・ベールの蒸留所「ネバー・ネバー」買収

 アサヒグループホールディングスのオーストラリア子会社、アサヒビバレジズは1日、クラフト・ジンの蒸留所「ネバー・ネバー」(南オーストラリア州マクラーレン・ベール)を取得したと発表した。傘下の酒類部門「カールトン&ユナイテッド・ブリュワリーズ」(CUB)を通して、同ブランドの商品を取り扱う。

 ネバー・ネバーは2016年、元投資銀行家のジョージ・ジョージアディス取締役社長ら3人の共同創業者がアデレードの小屋で始めた。オーストラリア蒸留酒賞の「国内の最優秀蒸留所賞」を22年まで3年連続で受賞するなど高い評価を獲得。現在では、有名ワイン産地のマクラーレン・ベールに蒸溜所を構え、クラフトジン市場の一角を占めている。

 買収金額は公表していない。アサヒビバレジズのアマンダ・セラーズ最高経営責任者(CEO)は声明で「私たちがネバー・ネバーを取得したのは、その素晴らしいブランド力と成功を評価しているからです」と述べた。

 3人の創業者は、買収後も職務を継続する。ジョージアディス社長は「オーストラリア市場で飲まれているジンの約80%は輸入品ですが、国内にはスゴいジンがあります。(アサヒとの)パートナーシップによって、大手ブランドと競争できる刺激的で独創性に富んだジンを造るという創業目的を実現し、さらなる成長につなげたい」と抱負を語った。

ライバルのキリンも高級ジン・メーカー子会社化

 オーストラリア産クラフトジンに照準を定める日本の酒造メーカーは、アサヒだけではない。オセアニア市場の覇権をアサヒと争うキリンホールディングスは昨年7月、傘下の酒造大手「ライオン」を通して、南部ビクトリア州の高級ジン・メーカー「フォー・ピラーズ」を完全子会社化している。キリンは19年にフォー・ピラーズに50%出資していた。

 フォー・ピラーズもネバー・ネバーの創業と同時期の13年、同州のワイン産地、ヤラ・バレーで設立。国際的な酒類品評会「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」で19年と20年、23年の3回、「最優秀ジン蒸留所」に選出された実績がある。

 両社がオーストラリアの高級ジンに狙いを定める背景には、今後も高い成長が期待できることがあるようだ。

 調査会社グローバルデータによると、2023年のオーストラリアのジン市場の規模は5億4,700万米ドルあった。同社の予測によると5年後の2028年には7億2,800万米ドルと33.1%伸び、年間平均成長率(CAGR)は5.91%に達する見通しだ。

 ただ、11.97%という高いCAGRが見込まれるラムをはじめ、ほかの蒸留酒と比べると成長のペースはより緩やかなものになると見られている。

■ソース

Asahi Beverages partners with South Australian distillery Never Never to shake up (and stir) Australian premium spirits(Asahi Beverages)

In data: Australian gin market shows “strong” growth but lags behind other spirits(yahoo! finance)





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