もう一人のボスが殺害された同じバーワン刑務所
2月11日付ABC放送(電子版)は、メルボルン暗黒街のボスで違法薬物犯罪でバーワン重警備刑務所で服役していたトニー・モクベル受刑者(53)が刺され、ヘリコプターで病院に急送されたが重体と報道している。
メルボルンの暗黒街はギャング団の抗争で合わせて10人以上が殺害されている。事件のあったバーワン重警備刑務所はもっとも危険なタイプの受刑者を収容しており、2010年には、冷酷凶暴で知られたギャング団のボス、カール・ウィリアムズが他の受刑者に背後から襲われ、体操器具で頭を殴られて死亡している。
モクベル受刑者と同じ時に襲われた他の受刑者(31)も病院に運ばれ、重体。
2月10日付サンデー・ヘラルド・サン紙は、モクベルが同刑務所内で「強力な牢名主」になっており、同じ刑務所に服役している太平洋諸島人グループの恐喝犯罪を阻止した」と報道していた。
モクベル受刑者は、「会社」と呼ばれるプロのシンジケートで黒幕を務めていたが、コカイン密輸入容疑で逮捕され、裁判を受けていたが保釈中にメルボルンを逃亡、2007年6月にギリシアで逮捕、2012年に30年の懲役刑を言い渡されていた。
11日午後3持45分頃、メルボルン南西のララの刑務所から通報があり、救急隊が出動した。モクベル受刑者は刑務所屋外のレクリエーション・エリアで刺されていた。隊員が応急処置し、ロイヤル・メルボルン病院に空輸した。
州政府の広報担当官は、「政府の施設で起きた暴力事件はすべて捜査することになっており、この事件でも全面的な調査が行われる。事件を受けて警察の捜査が始まっており、ここでこれ以上のコメントをすることは適切ではない」と発表した。
重警備刑務所で起きた傷害事件であり、野党自由党のデビッド・サウスウィック議員は、「重警備刑務所はこのような犯罪が起きないよう厳重に警備されている刑務所のはず。どうしてこのような事件が起きるのかを明らかにしてもらいたい」と発言している。
VIC州では刑事弁護士が警察のスパイを務めていたことが暴露され、ケリ・ジャッド州検事局が服役中の元ギャング団メンバー20人に信書を送り、裁判で影響を受けていた可能性があると伝えていた。
■ソース
Tony Mokbel, Melbourne gangland figure, in critical condition after Barwon Prison stabbing