モリソン政権、難民医療移送関係法で歴史的敗北

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連邦下院で政府法案の野党修正案が通過

 2月12日、スコット・モリソン連邦政権と与党保守連合は、疾病または負傷した難民希望者が必要な場合にはナウル、PNGの領外難民収容センターからオーストラリア領土に移すための法案で野党から出されていた修正案に反対したが労働党、緑の党、大多数の諸派無所属議員の賛成により、75票対74票で同修正案が可決され、連邦政権が重要法案で敗れるのは第二次世界大戦初期の1941年以来初のできごとであり、5月の連邦総選挙の趨勢を予想させる結果と捉えられている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 野党労働党のビル・ショーテン党首は、自党の69票に加え、アダム・バント緑の党議員、ケリン・フェルプス、ジュリア・バンクス、レベッカ・シャーキー、キャシー・マクガワン、アンドリュー・ウィルキーの5人の無所属議員の支持を取り付けた。

 政府は、連邦議会上院で提出された労働党修正案が「予算を必要とする法案を連邦上院に上程することはできない」とする憲法違反の可能性があるとの法務次官からの答申を根拠に同修正案を廃案に持ち込もうとしたが失敗し、むしろ与党保守連合が議会を抑える力もないことを見せつける結果になった。

 また、モリソン首相とピーター・ダットン内務相は、治療を必要とする疾病または負傷難民申請者をオーストラリア本土に移すことで再び人間密輸業者の活動が活発になり、海上での難民希望者死亡事故を増やす結果になる。また、児童性犯罪者などの犯罪者を本土に持ち込む結果になると主張していたが、主張の根拠を示せないままになってしまった。

 この法律の政府の案では、医療専門家パネルが疾病または負傷した難民希望者の移送を提案するが最終的な決定権は連邦大臣が握るとしているが、労働党修正案は医療専門家パネルの権限を強め、最終的に連邦大臣はパネルの進言に従わなければならないとしている。

 修正案を盛り込んだ法案は2月13日に連邦上院にかけられるが、政府与党は上院には多数を持っていないため、問題なく可決される見通しになっている。

 政府与党の73票に加えて保守派のボブ・カッター議員が修正案に反対票を投じた。
■ソース
Scott Morrison suffers historic defeat as border protection election looms

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