「労働党のネガティブ・ギアリング政策は無影響」

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連邦財務省が保守連合政権を叱責する珍事

 連邦労働党が公約に掲げている「ネガティブ・ギアリング引き締め」に対して、連邦与党保守連合の大臣らが「ネガティブ・ギアリングで一般国民に重大な影響が出る」として、様々な悪影響を予言しているが、その財務大臣が管掌する財務省が、「保守連合の予言は間違い。現実にはほとんど影響はないはず」として、保守連合政治家を叱責するという珍事が起きた。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 政治家が報告書や統計から自党の政策に都合のいい箇所だけを抜き出して事実であるかのように発言することは日常的に起きているが、お膝元の省が政府を批判することは珍しい。

 また、連邦政府閣僚らは、「ネガティブ・ギアリング制度改定でオーストラリア経済は不況に陥る」と発言していたが、労働党政権樹立を待たず、3月6日にはジョシュ・フライデンバーグ財務相が、「個人ベースで経済成長率が2四半期連続でマイナスになっており、不況に入った」と発表している。

 労働党の「ネガティブ・ギアリング引き締め」は、ネガティブ・ギアリング適用を改定施行以後の新規投資不動産開発物件に限定するものであり、いきなり適用をはずされるということはない。

 保守連合は、「労働党の政策で不動産価格が暴落する」としていたが、ABC放送が入手した資料から、2018年1月に財務省が、当時保守連合政府のケリー・オドワイヤー財務相代理に宛てて、「労働党の政策で住宅価格が下がることはありえない」と諮問していたことを暴露した。

 オドワイヤー大臣代理の執務室が省官僚に依頼し、「労働党が、キャピタル・ゲイン税を50%引き上げ、ネガティブ・ギアリングを廃止した場合に住宅価格が大暴落するというのは事実か?」との内容を調べさせたもので、省は「省の調査ではそれは事実に反する。省では住宅価格が下がると主張したことはない。その時の市場でどのようなことが起きているかによって短期的に下げ圧力になることはあり得るが、長期的にはどんな影響も考えられない」と答えている。

 この資料は、ABC放送が何か月もかけた調査のあげくに「情報の自由法」に基づいて公文書を入手したもの。

 豪中銀(RAB)は、「ネガティブ・ギアリング適用を引き締めることは財政安定のために役立つ」と主張してきた。
■ソース
Federal Treasury scolds Coalition for exaggerating impact of Labor’s proposed negative gearing overhaul

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