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鶏が先か? 卵が先か? オーストラリア政府はグリーン水素に前のめり

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相次ぐ大手企業撤退も

 オーストラリア連邦政府は、現在の主力輸出商品である化石燃料の世界需要が今後、縮小するとの見立てから、水素を将来の主力輸出商品と位置付けて産業の立ち上げを支援している。25日に議会に法案を提出した再エネ由来の「グリーン水素」への優遇税制もその一環だ。

 政府は9月に5年ぶりに改訂した「オーストラリア全国水素戦略」で、水素生産・輸出の世界市場をリードするロードマップを掲げた。既に全国7カ所に生産・輸出の拠点となる「水素ハブ」の建設も計画している。

 ただ、将来への期待が先行しているのが現状で、いわば「鶏」より先に「卵」を育てている段階。国内市場が人口約2,700万人と小規模であることから、商業生産を持続させるには世界的な水素需要の拡大が前提となる。

 水素で発電してモーターを駆動させる燃料電池車(FCEV)は、普及が伸び悩んでいる。走行時に二酸化炭素を排出せず、水しか出さないが、電気バッテリー車(BEV)の急速な浸透で劣勢に立たされている。化石燃料由来の火力発電に水素を混ぜて炭素排出を抑える「混焼」の需要も立ち上がっていない。製鉄に水素を用いる新技術「水素直接還元製鉄」も開発・研究の段階にとどまっている。現状では、再エネで水を電気分解する精製コストも高い。

 その上、液体水素の状態では超低温に冷却する必要があり、気体では特殊な高圧タンクに押し込めなければならないため、運搬や貯蔵時の取り扱いにくさもネックとなっている。アンモニアなどの「水素キャリア」に改質して運搬する方法も開発されているが、サプライチェーンが本格的に立ち上がっているとは言えない状況だ。

 脱炭素に舵を切る大手企業の投資をいかに呼び込むかが課題だが、ここにきて水素関連事業から手を引く動きも相次いでいる。発電・天然ガス大手のオリジン・エナジーは10月、東部ニューサウスウェールズ州のハンター地区の水素ハブ・プロジェクトへの参画を撤回した。石油・ガス大手ウッドサイド・エナジーも南部タスマニア州の再エネ水素事業から撤退している。

■ソース

Joint media release: Production tax incentives to help build a Future Made in Australia(The Hon Chris Bowen MP, Minister for Climate Change and Energy)

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