マスコットの高層アパートメント・ビルで建物内に亀裂

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住民避難命令受けたが代替宿泊所もないまま

 6月14日、シドニー南部のマスコット地区にある高層アパートメント・ビルの建物内に亀裂が見つかり、住民全員に避難命令が出た。住民は当分自室に帰れそうにない状態が続いているが、代替宿泊所も与えられず、動揺と不満が高まっている。シドニー地域ではオリンピック・パークに隣接するオパール・タワー高層アパートメント・ビルでも屋内に亀裂が見つかり、住民が長期にわたって避難する事態が起きている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 これまでグラディス・ベレジクリアン保守連合州政権は、建築認可を簡略迅速化する方向で政策を進めてきており、オパール・タワーの問題が起きた後も、建物を検査するコミッショナーの設立を約束したが、コミッショナーの任命が行われないままになっている。

 同地区のバーク・ストリートに建つマスコット・タワーズの約100戸の住民は14日に避難命令を受けたまま、建物が立入禁止になっており、屋内点検が続いているうちは荷物を取りに戻ることもできない。

 住民の一人は、「13日に建物の構造に亀裂が見つかったという通知を受け取ったが、避難命令を知ったのは14日夜にビルの自室でテレビ・ニュースで報じられたからだった。飼い犬がまだ部屋にいるし、料理中だったからオーブンもつけっぱなしだった。そのことを警察官に告げたが入らせてもらえなかった」と語っている。

 NSW州消防救助局は、「建物の土台付近で変動があったが、すぐに建物が崩壊するということはない」と発表している。

 また、オパール・タワーは比較的新しく、構造に欠陥があることが突き止められているが、マスコット・タワーの場合は築12年であり、他に何らかの原因があったものと見られている。そのため、13日にストラタ・チョイスが建物の配管の滑り継ぎ手不良を修理するため、駐車場に臨時の建物を建てることを住民に通知しており、主要支持構造や外装に亀裂や構造的な変形が現れたのはこれが原因だとして、建物と住民の安全のため、緊急に修理する必要があるとしていた。

 しかし、翌14日の夜には住民全員に避難を指示しており、それ以後、住民はアパートに戻れない状態であり、しかも、責任者からの連絡も十分になされていない。

 また、州政府は、オパール・タワーズ事件の後、至急住宅建設基準を厳しくするようにとの勧告があったにもかかわらず、いつ勧告に従って行動するのかを言明することも拒んでおり、批判が出ている。州政府のケビン・アンダーソン規制改善担当大臣は、「個々のケースで違いがあり、技術者の評価が必要だ。政府としては建築建設業界に対する市民の信頼を取り戻すよう努力している。コミッショナー設立もその一つだ」と語っているが、、同大臣の広報担当者は、「コミッショナーは来月に任命する」と発表している。
 マスコット・タワー管理者はコメントを拒否したと伝えられている。
■ソース
Mascot Towers: Residents in limbo after ‘persistent’ cracks widened

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