元行政不服申立審判所委員が発言
センターリンクは福祉金を支給されている人に対して生殺与奪の力を持っている。そのセンターリンクが採用しているロボ・デット・システムに対して訴訟も起きており、元行政不服申立審判所委員が、「ロボ・デット・システムは強請システムだ」と発言している。
ABC放送(電子版)が伝えた。
センターリンクの自動化ロボ・デット・システムは、国税庁からの所得データを受給者がセンターリンクに届け出た所得データと比較し、場合によっては支給した福祉金の返還を求められる。また、滞納した場合、海外旅行もできなくなる。システムが発足してから1年半で連邦政府は「14億ドルの財政節約になった」としている。
しかし、一方では、連邦の行政不服申立審判所で2017年9月に任期が切れるまで39年間、生活保護部門の委員を務めたテリー・カーニー氏が、社会福祉省のこの「自動債権取り立てプログラム」を「一種の強請システムだ」と厳しい評価を下している。
また、VIC州の法律援護機関は、ロボ・デット・システムに問題があるとしてセンターリンクを相手取った連邦裁訴訟を2件起こしている。
ABC放送の時事番組「7.30」に出演したカーニー氏は、「センターリンクは、システムの法的弁護を一切明らかにすることを拒んできた。また、社会福祉省の対応は救いがたいとしかいいようがなく、どこかの第三世界の国の話のようだった。いわばマフィアのセリフのようなもので、『あなたはセンターリンクに借りがある。証明しろだと? われわれには証明する義務はない』という態度だ。こんなものは強請と言うしかない」と語っている。
所得の数字に食い違いがあれば、極端な場合には6年前に遡って所得を証明する書類の提出を要求される。証拠の書類がない場合、「センターリンクへの返済」を求める手紙が送られるが、センターリンクに借りがないことを証明する挙証責任は個人にあることになっている。福祉金を受ける個人は経済的に困難を背負っており、6年前に遡って必要な書類を見つけることはさらに難しい。
VIC州の法律援護機関が起こした最初の訴訟では社会福祉省がロボ・デットの請求した負債を抹消したが、その後に同機関は再び別の事件の訴訟を起こしている。
同機関のローワン・マクレー理事長が弁護団を組織し、「法廷では、ロボ・デット・システムそのものの合法性を精査するよう求めている。このシステムは不公平であり、困窮者に苛酷な影響を及ぼしている。私達はこのシステムが違法だと考えており、法廷が審理することを望んでいる」と語っている。
ロボ・テット・システムで2016年7月から2018年12月までの間に、444,989件の「債務」が報告されており、マクレー理事長は、「この裁判の成り行きを見守っている人は大勢いるはずだ」と語っている。
社会福祉省は「7.30」への出演を拒否し、「裁判係争中の事案についてはコメントできない」としている。
■ソース
Centrelink robo-debt system is ‘extortion’, says former tribunal member