ABC放送が「百頭を超える競馬馬が屠殺場に」放送

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競馬規則、動物里親制度、動物福祉保証に違反

 ABC放送(電子版)は、「年間何百頭もの登録競馬馬が各地の屠殺場で処分されている」と報道した。

 ABC放送は、NSW州でも登録競馬馬が役に立たなくなったとして屠殺場に送られていると報道しているが、レーシングNSWでは、「NSW州の競馬馬が屠殺場に送られているなら競馬規則違反だ」としている。

 また、サラブレッド競馬の全国団体であるレーシング・オーストラリアが挙げている公式データによれば、毎年引退する競馬馬のうち、屠殺場に送られる頭数は1%に満たないとしており、頭数では年間34頭前後ということになる。

 しかし、ABC放送が2年がかりで調査し、入手した情報によれば、実際の屠殺場行き競馬馬の頭数はこれをはるかに上回っている。

 動物福祉と行動学研究者でサラブレッド競馬の調査に25年の経験を持つポール・マックグリーヴィ教授も、競馬馬屠殺の規模にショックを受けており、「競馬界を根底から揺るがす情報だ。競馬界が言ってきたことに反している。サラブレッドが屠殺場に送られ、その施設でひどい扱いを受けていることになる」と語っている。

 さらにABC放送の調査で、国内の屠殺場での牛や羊の屠殺でも行われていない手段が用いられており、キル・ボックスに入れられて動けなくした馬の体や肛門に電気ショックを与える方法が取られたり、生体馬をむち打つ、蹴る、踏みつけるなどの行為や馬をおびえさせることも行われている。

 また、チャンピオン馬でさえ屠殺場に送られていると伝えている。

 2016年、レーシング・オーストラリアは、全ての馬を登録し、誕生から引退までを追跡できるようにする「トレーサビリティ・ルール」を導入している。また、競馬馬の福祉を保証する様々な措置が取られ、NSW州とACTでは不要競馬馬を屠殺場で処分することが禁じられるようになった。

 2018年には、ABC放送の「Four Corners」に出演したレーシングNSWのピーター・ヴランディスCEOが、「州内で生まれた馬は競馬馬に限らず、すべて登録され、動物里親を捜すことになる」と語っている。

 しかし、ABC放送の調査では、不要な競馬馬が依然として屠殺場に送られていることが明らかにされた。ヴランディスCEOは、「そのような事実を知らない。しかし、それが事実なら法に従って断固とした処置を取る」と語っている。
■ソース
Hundreds of racehorses sent to slaughterhouses in contravention of racing rules

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