ABC放送の継続プロジェクト「Australia Talks」
ABC TVは、「Australia Talks」プロジェクトで、オンライン世論調査の54,000人の回答をまとめ、オーストラリア社会の姿を分析する番組を放送している。その一つとして、オーストラリア国内でもっとも孤独感を感じている人々の4つの類型を割り出している。
ABC放送(電子版)が伝えている。
150件近い研究のメタ分析で、社会的包含、社会的サポートを欠く孤独は偏った食事、肥満、アルコール、運動不足などを招き、喫煙同様に健康に害があることが突き止められている。また、社会的なつながりは非常に過小評価されていることも明らかになっている。
回答者全体では「ほとんど」「まったく」孤独感を感じていない人は54%程度にしかならなかった。また、4つの社会的グループで顕著な孤独感が表れている。
1番目に「18歳から24歳までの若年者」が強い孤独感を感じており、「ほとんど、全く」孤独を感じていない人は32%程度で、「しばしば、常に」感じている人が30%にのぼっている。比べて、それより高齢者になると「ほとんど、全く」が71%にもなる。これまで高齢者が孤独を感じていると思われてきたが現実はそうではなかった。
2番目に「都市生活者」が孤独感を感じている。都市と郡部では、「全く感じていない」が15%対20%になり、「時々、しばしば、常に感じている」人が50%対42%になっている。これも一般通念に反しているが、番組のデータの分析にあたった社会心理学専門家らは、「孤独感は人間同士の結びつきの欠如」であり、都市で人に囲まれて生活していても他人との結びつきが乏しいことを示していると分析している。
3番目に「ワン・ネーション党支持者」が孤独感を感じている。この極右政党支持者の9%が常に孤独感を感じているのに対して、他の政党では2%前後にしかならない。世界と切り離された孤独感が極端な政治運動に慰めを見いだすものと分析されており、しばしばこの孤独感から過激派活動に走ることが知られている。
4番目に「低所得者」が孤独感を感じている。週収入$600未満の人の21%が「しばしば、常に」孤独感を感じているが、週$3,000以上の収入がある人の場合には10%程度にしかならない。世界的にも貧困が健康障害、特に鬱病その他の精神障害の予測因子になっている。
このデータ分析から、近代社会の弊害として人間関係の基礎が失われてきたが、これを再興する努力が必要ではないか、としている。
■ソース
The four loneliest types of people in Australia