オーストラリア・デー、「今年のオーストラリア国民」

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豪社会に貢献したパラリンピアン、救急ボランティアら

1月25日付ABC放送(電子版)は、オーストラリア・デーの前日に「2022年のオーストラリア国民」各部門が発表されたことを伝えている。

2022年のオーストラリア国民にはパラリンピック選手で障害者の声を伝えるディラン・オルコット氏(31)が選ばれた。障害者が「今年のオーストラリア国民」に選ばれるのは62年の歴史の中で初めてのできごと。

また、セント・ジョン救急隊ボランティアのヴァル・デンプシー氏が「今年の高齢者国民」に選ばれ、社会的脆弱者の医療サポートをしているダニエル・ノウル医師が「今年の青年国民」に選ばれた。また、郡部でアルコールの危険を説いているシャナ・ワン氏が「地域の英雄」に選ばれた。

オルコット氏は、パラリンピック出場の他、慈善活動家、メディア・コメンテータなどの活動を続けており、国民の障害者問題意識を高める活動を認められた。

オルコット氏は車椅子テニスでゴールデン・スラムを獲得するなどの記録があるが、今年の国民に選ばれたのは障害者の権利を高める業績を認められたもので、2009年にはスポーツでの業績に対してオーストラリア勲章を受けており、2017年にはディラン・オルコット基金を設立、障害者のための奨学金やその他の援助を開始、同年に障害者向けの訓練制度「Get Skilled Access」の共同設立者になるなど様々な活動を続けてきた。

性暴行を受けた女性の声を代表して活動し、2021年のオーストラリア国民に選ばれていたグレース・テーム氏は、2022年のオーストラリア国民発表式に立ち会ったが、連邦議事堂で起きていた女性に対する性暴行や性差別問題への政府の対応を不満として、スコット・モリソン連邦首相に対して冷ややかな態度を取った。このテーム氏に対して批判が噴き出したが、今年の国民に選ばれたオルコット氏はテーム氏を称賛し、「テーム、あなたは激烈だ。そんな態度が好きだ。あなたは自分の掲げた目的のために大きな仕事をしてきた。今年の国民としてあなたの8分の1でも尽くすことができれば、充分にやったと満足できるだろう」と語っている。

ヴァル・デンプシー氏は、2019/20年のブラック・サマー・ブッシュファイアの際に救急隊ボランティアとして地域住民に貢献したことを表彰された。

ダニエル・ノウル医師(26)は、ロンドンでの医学部の最終学年の際に、鉄道駅でひきつけを起こして倒れている人を看病し、その人がホームレスだということを知ったという。2020年にオーストラリアに戻った後、NSW州で、ホームレスの人々のために移動医療診療所、「Street Side Medics」を設立した。

シャナ・ワン氏(47)は、自分自身が2015年にアルコール依存症のために命を落としかけたが、その後依存症を克服した経験から、郡部に少なくないアルコール依存症の人々に協力するため、非営利団体「Sober in the Country(SITC)」を設立し、多くの人々の力になってきた。ワン氏は、「郡部のアルコール依存症は都市部に比べて50%大きい。郡部では支援グループやピア・カウンセリングも乏しいが、アルコールだけはふんだんにあるため、アルコール依存症になる危険が大きい。アルコール依存症は隠されたパンデミックだ」と語っている。
■ソース
Paralympian and disability advocate Dylan Alcott named 2022 Australian of the Year

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