生活費の高騰(Cost of Living Crisis)が続くオーストラリアで、身近なお菓子である「チョコレート」の価格上昇が著しく、消費者の購買習慣に変化が生じている。世界的なカカオ豆不足と価格急騰を背景に、定番商品の値上げや実質的な値上げ「シュリンクフレーション(Shrinkflation)」が相次いでおり、多くの家庭で「日常的なおやつ」から「特別なご褒美」へと位置づけが変わりつつある。
スーパーの棚で感じる値上げの実感
オーストラリアの主要スーパーマーケット(WoolworthsやColesなど)では、ここ1〜2年で大手メーカーの板チョコや袋入りお菓子の価格が大幅に上昇している。かつてはセールの定番として3〜4豪ドル程度で手に入った商品が、現在では5〜8豪ドル近くに達することも珍しくない。

これに伴い、消費者の意識にも変化が見られる。これまでは買い物ついでに日常的についで買いされていたチョコレートだが、最近の調査や街の声によると、「セール時しか買わなくなった」「ナショナルブランドからスーパーのプライベートブランド(PB)に切り替えた」という声が増加している。また、小腹を満たすためのお菓子をチョコレートからパンや果物、自家製のおやつに切り替える家庭も出てきている。
価格そのものの引き上げだけでなく、価格は据え置き(または微増)のまま内容量を減らす「シュリンクフレーション」も消費者の不満を強めている。メーカー側も原材料費の高騰を吸収するための苦肉の策としてサイズ縮小を進めているが、長年親しんできた定番商品の変化に、買い控えを加速させる要因となっている。
背景にある「世界的なカカオ危機」

オーストラリアでチョコレートが高騰している最大の理由は、世界的なカカオ豆の供給不足だ。 主な生産地である西アフリカ諸国(コートジボワールやガーナなど)が、天候不順や病害、気候変動の影響を受けて歴史的な不作に見舞われている。これにより国際的なカカオ先物価格が過去最高値を更新するほど跳ね上がり、現地メーカーや製菓企業の製造コストを直撃している。
さらに、オーストラリア国内における人件費や物流費、包装資材のコスト上昇も重なり、最終的な店頭価格へと転嫁せざるを得ない状況が続いている。
今後の見通しと「ご褒美消費」のゆくえ

カカオの供給不足が短期間で解消する見込みは薄く、専門家の間ではチョコレートの高値傾向は当面続くとの見方が強い。
かつては「手軽で安いおやつ」の代名詞だったチョコレートだが、今後はより質を重視したプレミアム商品を選んでたまに楽しむような、「日常の中の小さな贅沢品」としての位置づけが定着していく可能性がある。
■ソース
High cocoa prices could change chocolate-eating habits (ABC News)