
オーストラリアでは喫煙率が着実に低下している一方、電子タバコ(vaping)の利用が広がっている。特にニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州では、紙巻きタバコの喫煙率が比較的低いにもかかわらず、電子タバコの使用率は全国で最も高いという調査結果が明らかになった。
健康保険比較サービスのiSelectが2026年9月に発表した調査では、世界103カ国の喫煙率やその変化、2030年の予測値、タバコ価格、禁煙に関する検索数などを分析。その結果、オーストラリアは「喫煙率の低下が進んでいる国」として上位に位置付けられた。
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豪州の成人喫煙率は7.8%まで低下
調査によると、オーストラリアの成人喫煙率は7.8%。過去3年間で3.7%低下しており、2030年には6.4%まで低下すると予測されている。その背景には、紙巻きタバコの価格の高さや、健康への意識の変化、禁煙への関心などがあるとされる。
一方で、今回の調査で注目されるのが電子タバコである。紙巻きタバコを吸う人が減少しているからといって、ニコチン製品を使用する人そのものが同じ割合で減っているとは限らない。iSelectは、特にNSWでこの傾向が目立つとしている。
NSWは喫煙率8.8%、一方で電子タバコは全国最高
NSW州の成人喫煙率は8.8%。全国的に見ても比較的低い水準にある。ところが、電子タバコの使用率は7.9%と、今回比較された州・準州の中で最も高かった。
また、禁煙に関連するオンライン検索は人口10万人当たり194.4件で、これも州・準州の中では最も少ない数字となった。
つまりNSWでは、従来の紙巻きタバコを吸う人は比較的少なくなっているものの、電子タバコへの移行が進んでいる可能性があるという。
iSelectの調査では、NSWについて「紙巻きタバコの使用減少」という面では改善が見られる一方、電子タバコの普及が新たな課題になっていると指摘している。
タバコ代は年間1万3,777ドルにも
今回の資料では、喫煙による経済的な負担についても州別に試算している。
NSWでは毎日喫煙する人を約66万7,500人とし、紙巻きタバコ1箱の平均価格を63.99豪ドル、1日平均11.8本を吸うと仮定。これに基づくと、喫煙者1人当たりの年間支出は約1万3,777豪ドルとなる。州全体では、紙巻きタバコへの年間支出が90億豪ドルを超えると試算されている。
ただし、これはあくまで推計値である。計算では正規の小売価格で購入すると仮定しており、非合法市場や免税店などで安く購入した場合は考慮されていない。そのため、実際の個人の支出額とは異なる可能性がある。
オーストラリアでは、紙巻きタバコの価格が非常に高くなったことも、喫煙率低下の一因とされている。
しかし今回のNSWのデータからは、紙巻きタバコの喫煙率低下と、ニコチン製品の使用そのものの減少は、必ずしも同じではないことが見えてくる。
iSelectのヘルス部門ゼネラルマネージャー、アンドレス・グティエレス氏は、喫煙率の低下には価格、社会的な意識の変化、健康への認識など複数の要因が関係していると説明。そのうえで、電子タバコの普及によってニコチン使用をめぐる問題はさらに複雑になっていると指摘している。
オーストラリアでは「タバコが高い国」というイメージが定着しているが、今回の調査は、紙巻きタバコの販売量や喫煙率だけでは見えない、電子タバコを含めたニコチン製品の利用実態にも目を向ける必要があることを示している。